韓国における小商工人(小規模自営業者)の廃業が増えている中で、李在明(イ・ジェミョン)新政府が約束した「小商工人の支援政策」に期待を寄せている。李在明氏は大統領選にて「家計・小商工人活力増進および公正経済実現」を掲げ、小商工人に対する大々的な支援を約束し、小商工人の債務の見直しを主要課題として提示した。小商工人などの債務が今後、韓国経済における潜在的なクライシスのトリガーになりかねないためだ。負債に耐え切れぬ零細自営業者が次々に倒産し、金融機関などへのリスクにもなりうることから、それを事前に遮断するための安全装置が必要な状況だ。
国際決済銀行(BIS)と韓国銀行の資料によると、韓国の零細自営業者の負債は2024年7~9月期基準で369兆ウォン(約38.8兆円)となり、過去最多を記録していた22年パンデミック(新型コロナ)の水準(393兆ウォン)に肉薄した。新型コロナ時に期限を延ばしてきた小商工人の貸出満期が一気に到来する点も不安要素といえよう。
深刻な不況で売り上げが急減した自営業者らは、地域貨幣と地域商品券、消費促進クーポンの発行に関心を寄せている。李在明政権は内需低迷の中での消費促進のため、地域通貨の拡大発行を検討している。李大統領は過去に何度も「地域通貨は民生経済を生かす」とし、地域貨幣の効用を強調している。中でも、小商工人たちは地域貨幣の発行に期待感を示している。韓国SOHO銀行コンソーシアムを主導する韓国信用データ(KCD)は、経営管理ソリューション・キャッシュノートを使用する小商工人を対象に緊急アンケート調査を施行した結果、全回答者の53%が政策に対する期待感が「非常に高い」と答えたと明らかにしている。KCDによると、全回答者のうち4分の3の75%は期待感があると答えた。
ソウル証券街の消費専門アナリストは「24年末から尹錫悦前大統領による戒厳令のショックで経済が低迷した状況であるため、これからは正常な経済活動ができる支援策作りが急務だ」と話す。