商業施設新聞
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No.978

イマーシブ発表会、モツ野菜麺、旨辛うどんを体験


笹倉聖一

2024/10/22

 秋の新商品、新メニューの発表会が活発になり、秋商戦の盛り上がりを感じる。(株)カインズは、劇を交えた「イマーシブ(没入感のある)体験型新商品発表会」を開催し、また(株)ハイデイ日高と(株)丸亀製麺は秋の新メニューを発表して試食会を開いたので、参加してみた。

くらし ららら劇場に出演するカインズの高家社長(左)
くらし ららら劇場に出演するカインズの高家社長(左)
 カインズは、劇を交えた「イマーシブ体験型商品発表会」を9月25日に開催し、「CAINZ 商品発表会2024~くらし ららら劇場~」として東京・新宿ルミネゼロで開催した。カインズの代表取締役社長の高家正行氏はイマーシブ体験側として劇に参加し、木の枝を瞬時に切るDIYのハサミや、ベンチとして利用できる奥行きの深い収納箱の便利さを「くらし ららら劇団」(協力:別世界カンパニー)とともに演じ表現した。

 高家社長は「当社はこれまで新商品を店舗でお客様に紹介してきた。最近は、SNSや動画を使って新商品の情報を拡散する手段も生じている。そこで今回はリアルな会場での商品紹介と、デジタル技術を駆使した商品情報の拡散を融合できないかと考え、アンバサダーの人たちにも来ていただき、新しい商品の伝え方に挑戦してみることにした」と、イマーシブ型発表会の開催経緯を説明した。

 3月に東京・台場で「イマーシブ・フォート東京」((株)刀が開発)が開業して以来、“イマーシブ”(没入型)という言葉をよく耳にする。観客が劇やストーリーに巻き込まれる体験型による演出手法で、これと同じ手法がカインズの記者発表会に取り入れられたのは斬新だった。商品発表の会場には、庭、玄関、キッチン、リビング、寝室、風呂・洗面と暮らしの場面別に6つの空間が用意され、一般の人たちにも訴求した。

 ハイデイ日高は、北関東地域への熱烈中華食堂「日高屋」の出店を強化している。9月には玄関口となるJR上野駅構内に上野駅入谷口店を出店するとともに、4年ぶりに復刻するモツ野菜ラーメンの提供開始を青野敬成社長が発表した。青野社長は「日高屋は、男性客が多い印象があるかもしれないが、最近は女性客が増えている。女性客増加に向けて実施した工夫の一番は、タッチパネルでの注文形式にしたこと。これにより、たくさん注文するのが恥ずかしいという人や、店員を呼ぶことが苦手な人でも注文しやすくなった。さらに、上野駅入谷口店は内装が綺麗で女性客も入りやすい」と紹介した。4年ぶりの復刻・新メニュー「モツ野菜ラーメン」(10月11日発売)と日高屋初の「サワー祭」(9月20日から開催)については、「両方とも女性客をターゲットに含んでいる。これからは『日高屋女子』が流行っても良いのではないかと思っている」(青野社長)と、日高屋の新しい客層について話した。日高屋と女性客とは、意外な組み合わせで興味深い。上野駅入谷口店の内覧会では、モツ野菜ラーメンを試食できた。とんこつベースのスープに秘伝の辛味噌が混ざり、鮮度の良い国産の豚モツから出る良質な脂のうまみが溶け込んでいる。さらに玉ねぎ、白菜、キャベツ、ニンジン、ニラの健康野菜が加わり、女性客だけでなく、男性客の健康も促進し得る絶妙な一杯だ。

 丸亀製麺の讃岐うどん専門店「丸亀製麺」は、「旨辛 肉盛りまぜ玉うどん」を10月8日から秋限定で販売開始した。打ち立て、茹でたてのうどんに、にんにくを下味にした豚バラ肉と肉そぼろ、唐辛子、しょうが、濃厚な卵をからめて食す旨辛うどんである。試食したところ、こだわりの具材をからめるほどに、ガツンとした味わいが生まれ、パンチの効いたやみつきになる一杯と感じた。夏の酷暑でまいった体に、刺激を一発見舞われた感覚を受け、身体と精神が奮い立つ逸品である。また、700万食突破間近の「丸亀うどーなつ」でも、焼きいも味とピザ味を秋の新商品として発売。長い酷暑で疲れた、商業施設務めの方々もお試しあれ。

 地球温暖化を超えて同沸騰化の危惧が叫ばれる中で、日本では衆議院選挙が行われる。外食産業をはじめ、ホームセンター、雑貨小売りなどの消費経済の好況が継続する経済政策を願っている。
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