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平成博愛会 博愛記念病院 理事長 武久洋三氏(1)


博愛記念病院60床から30年間で22病院3234床・介護系3593床へ急成長

2015/2/17

熱心に講演する武久洋三氏
熱心に講演する武久洋三氏
 JPI(日本計画研究所)主催の特別セミナーにおいて、(医)平成博愛会 博愛記念病院の理事長で、厚生労働省社会保障審議会の医療保険部会委員や介護給付費分科会の委員を務める武久洋三氏は、「神奈川県『横浜記念病院』新設 平成医療福祉グループの首都圏進出など病院・施設建築計画と病院淘汰時代の生き残り戦略」と題して講演を行った。本紙では、4回にわたりその様子を紹介する。
 武久氏は、1.平成医療福祉グループ沿革、2.「患者本位」の病院・施設建築(ハード面の工夫)、3.「患者本位」のサービス提供(ソフト面の工夫)、4.これからの医療提供体制の順で講演を進めた。武久氏は、平成医療福祉グループの理念に「絶対に見捨てない」を掲げ、先進の思想に基づいて患者本位の医療、介護サービスを提供しながら、経営者としての卓越した能力による効率的な組織運営を両立している。それは、博愛記念病院開院時の60床から30年間で7500床(介護保険施設、老人ホーム、サ高住などを含む)へと急成長させたことが物語っており、また厚生労働省の医療・介護の連携に関する多くの委員、2013年度の経済産業省次世代ヘルスケア産業協議会委員をはじめ、経済産業省の介護・ヘルスケア産業に関する多くの委員を歴任。日本慢性期医療協会や慢性期リハビリテーション協会の会長を務め、14年度においても、経産省事業環境ワーキンググループ主査、厚労省地域医療構想策定ガイドライン検討会構成員など複数の要職を務め、その知識、経験、アイデアが国の医療・介護政策に大きな影響を与えている。
 講演の冒頭、「医療・福祉はサービス産業である。私が病院・施設の建築に最もこだわる点は『患者本位』である。患者・入所者が過ごす病室・居室は広く、スタッフ室を狭くすることで、常にスタッフが患者・入所者のそばに寄り添えるサービス提供を目指してきた。いまだに暗い、臭い、汚い、狭い、マンネリ、不親切、高齢化、高額差額金、規則ずくめの病院・施設が現存しているが、ハードのリニューアルを何十年もしていないところが継続して運営できていることは他の産業ではほとんどない。これからの病院淘汰の時代、グループ設立30年を振り返りながら、いかにして生き残っていくべきか」と要旨を述べて講演に移行した。

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◆84年開院の博愛内科病院60床からスタート
 武久氏は、岐阜県立医科大学(現岐阜大学医学部)を1966年に卒業、71年に徳島大学医学部で医学博士の授与を受け、84年に(医)博愛記念病院(当時の博愛内科病院)の理事・副院長、93年には(医)平成博愛会博愛記念病院の理事、院長に就任した。
 84年開院の博愛記念病院(博愛内科病院)は、60床でスタート。85年に増築が完成し104床となり、85年に現名称に変更するとともに、135床へと増築増床した。地域保険医療計画による病床規制の前の87年までには現在の210床へと増床を完了した。
 武久氏は、ここで地域保険医療計画、基準病床数に触れ、徳島県においては、療養病床および一般病床の総数が基準病床数に対し、4215床も過剰となっており、今後、大きな再編の可能性もあるとの見方を示した。
 博愛記念病院は、210床(地域包括ケア病棟51床、回復期リハ病棟30床、医療療養病床72床、障害者57床)のほか、5000坪もの広大な敷地に訪問看護、訪問介護、訪問リハビリ、居宅介護支援事業所、デイケア、デイサービスの各拠点を備えている。これは、「大規模多機能センター」として高齢者が安心して診療やリハビリを受けられる地域密着の理想の医療体制を目指して施設整備を進めた結果である。武久氏は、市街地調整区域の土地を安価で手に入れていたため、こうした拡大が可能となっていると説明した。

◆制度がない29年前から訪問看護・介護を実施
 博愛記念病院の地域医療連携室を中心に、病院、ケアハウス、特養、短期入所生活介護、有料老人ホーム、グループホーム、健診センター、さらに、制度がなかった29年前から提供していた訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、デイサービス、デイケアまでを総合的に運営している。

(続きは本紙で)

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