商業施設新聞
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No.535

グルメリポ


松本 顕介

2015/12/8

カフェダイニング「Public House」のピザを中心としたメニュー(11月24日に開催された「東横線・目黒線武蔵小杉駅南口高架下店舗」の内覧会で)
カフェダイニング「Public House」のピザを中心としたメニュー(11月24日に開催された「東横線・目黒線武蔵小杉駅南口高架下店舗」の内覧会で)
 話題のスイーツやカフェ、ラーメン、レストランなどの新店や新メニュー、季節の旬なメニューがテレビの情報番組で紹介されない日はないのではないだろうか。グルメレポーターが箸やスプーンでゆっくりと、持ち上げ一瞬止める。まばゆいライトを浴びたその商品(フード)が画面いっぱいに映し出された後、レポーターの口に運ばれる。
 次の瞬間、レポーターは目をまん丸にし、「美味しい、うまい」と叫んだり、「うーん」と唸ったり、「口の中で香りがパーっと広がるんです」とのコメントを発したり。また、叫ばずともカメラに向けて満面の笑顔を向けたり、思いっきり天を仰いでみたりと、多少のオーバーアクションを差し引いても、その表現力に見ている方も思わずゴクリとやってしまう。画面が切り替わり、スタジオの出演者が身を乗り出してため息をついたり、生唾を飲み込む仕草があれば、演出としての効果は一層高まる。
 雑誌然りである。カラーページにオススメフードのぶち抜き特集があれば食欲をかき立てられる。訴求力が違う、新聞とは。

 だからと言って媒体で待遇を分けるのはいかがなものか。先日開業した米国発ハンバーガー店に本紙記者が内覧会の申し込みをしたところ、断られたそうである。かなり粘ったのだが、何でもテレビ、雑誌を優先するとのことだった。
 確かに本紙、商業施設新聞はモノクロである。写真も小さい。媒体の性格上、外観や店内写真が多く、メニューも申し訳程度しか載せていないことが多い。記事も店のロケーションや空間、内装、雰囲気、客単価、ターゲット層、今後の出店戦略などにどうしても重きを置いてしまう。売っている商品の魅力を伝えたい側としては物足りないのかもしれない。「まるで宝石箱やぁ」などの決めゼリフが紙面に踊ることはない。

 だが、本紙の読者が記事を見て店舗を訪れることが少なくないのだそうだ。とある読者は本紙記事を見て、女性スタッフをその店に連れて行き、彼女たちの反応を見るらしい。その読者の目的は筆者も含めた一般客には計り知れない。敵情視察、場合によっては2号店誘致の思いを巡らせているとか。しかしきっと訪れた女性スタッフはSNSなどで感想を発信しているに違いない。


 残念である。そういう読者に今回紙面で情報を提供できなくて。
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