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新材料にビジネスチャンスの芽


~高付加価値化が進むタッチパネル~

2018/2/2

主席アナリスト 大井祥子氏
主席アナリスト 大井祥子氏
 大手調査会社のIHSマークイットは、1月25日、26日にFPD市場総合セミナー「第34回IHSディスプレイ産業フォーラム」を東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)で開催した。「タッチパネル市場&インターフェイス技術動向」を担当した主席アナリストの大井祥子氏に話を伺った。


 ―― タッチパネル市場の全体像から。
 大井 市場の約8割をスマートフォン・携帯電話が占めていることもあり、引き続きインセル、オンセルといったエンベデッド型への集約が進んでいます。当社の調べで、2017年は台数ベースでエンベデッド型が51.9%、アドオン型が48.1%を占めました。
 21年には純粋なアドオン型の構成比は23.7%になりますが、エンベデッドのうちディスプレー材料間にフィルムセンサーを貼合するタイプと、ディスプレー材料フィルムにセンサーをインテグレートするタイプを含めると42.5%になります。アドオンのうち、特にフィルムセンサーはこのような用途が新たな方向性になることを意味していると思います。
 さらに、最初から数量が見込めない新規用途は、まずコスト競争力の高いアドオン型を採用する傾向が強いです。エンベデッド型ですべてに対応できるわけでもないからです。

 ―― 今後フォルダブル端末の商品化が期待されていますね。
 大井 フォルダブルに限らず、ベンダブル、狭額縁化、大型化、車載、ペン入力対応、フォースタッチなどの新技術・新用途に市場拡大の芽があります。これらを実現する技術要件として低抵抗化や高感度化、ノイズ対策、異形対応などが求められており、ビジネスモデルも変化しています。

 ―― その変化とは。
 大井 例えば、車載では車種ごとにカスタマイズ要求が強いためティア1がすべてに対応しきれず、部材メーカーがガラス成型加工~表面処理まで一貫して手がけ、少量多品種生産するケースが出てきました。旭硝子などが好例ですが、今後はディスプレーやタッチパネルメーカーが手がけるケースも出てくるでしょう。生産能力に限りがある日本企業は総じて車載用や産業用にシフトしつつあり、カバーや材料にもアレンジを加えてカスタマイズし、ソリューションを提案する方向に向かっています。
 付け加えて言うと、タッチパネルには静電容量方式と抵抗膜方式があり、主流は静電容量方式ですが、車載向けでは抵抗膜方式の需要も旺盛です。供給能力が限られているため、増産投資をすべきか検討している企業もあります。

 ―― 大量生産を得意とする海外勢は。
 大井 フレキシブル化に対応するため、メタルメッシュや銀ナノワイヤーといった非ITO材料を用いたセンサーの事業化が活発化してきました。タッチパネルの仕様がアドオンでもミッドセルでもインセルでも、今後はすべての形態に対応できるようにフルモデルを揃えていく方向に動くとみています。

 ―― 非ITO以外に期待できる新材料は。
 大井 これもフォルダブル対応を見据えたものですが、カバーを含めて耐久性の向上が求められています。使用時の耐久性に限らず、製造プロセス時の耐久性も必要で、フレキシビリティーと硬度のバランスをどう取るかが課題です。現在、日本の化学各社が透明ポリイミドをはじめとした新規材料の開発・提案を進めており、実用化に大きな期待がかかっています。従来の延長線ではない全く新しい技術の開発は素材に強い日本メーカーの得意分野であり、独占的な地位を獲得できる可能性を秘めています。

 ―― 音声入力など新たなインターフェースが出てきました。
 大井 音声入力は、ディスプレーを必要としない場面や用途でのインターフェースとしては適していると思います。ただし、音声だけではディスプレー+タッチパネルほどの役割が果たせないため、今後は他の技術との融合が進むはずです。複雑な情報に対処する場合には「見て理解し、触って操作する」という操作が合理的です。一例として、空中ディスプレー向けのタッチ技術として、タッチ感を得られる超音波ハプティクスの研究が進んでいます。新規アプリや新分野では「ボリュームよりも高付加価値」が重要であり、ここにビジネスを差別化するポイントがあると言えます。ただし、市場の成長スピードはますます速まっています。ブルーオーシャンであっても新たなニーズにいち早く対応する、もしくはニーズの創出とともに参入するくらいのスピード感が必要になると思います。

(聞き手・編集長 津村明宏)

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