電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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次期投資をどこに向けるかが焦点


~ソニーのイメージセンサー事業~

2018/9/21

 前回のコラム(本紙9月6日号)で、CMOSイメージセンサー市場が当初の想定を上回る成長を遂げそうなこと、そしてその市場で日本企業がきわめて良いポジションで事業を展開していることを述べた。CMOSイメージセンサー市場は1兆円を超えたばかりだが、スマートフォン(スマホ)の3眼化や自動車への搭載増加、産業用での需要拡大によっては、2兆円を狙えるデバイスに育つ可能性があると考えている。

 そのなかで注目すべき企業がソニーだ。IHSマークイットの調査によると、ソニーはイメージセンサー市場で52%のシェア(2017年、金額ベース)を獲得している。また、18~20年度の3年間で全社の設備投資額に1兆円を充て、この大半を半導体に配分する考えを示している。さらに、20年度に半導体事業で売上高1兆1000億円(17年度実績は8500億円)、営業利益1600億~2000億円(同1640億円)を目指す方針も明らかにしている。改めてソニーのイメージセンサー事業を分析してみる。

■生産能力は10万枚超
 IHSマークイットの分析では、ソニーは現在、CMOSイメージセンサーの月産能力として熊本、長崎、山形の3拠点合計で10.6万枚(300mmウエハー換算)の生産能力を有している。これを拠点別に見た場合、2年前までは長崎が約4割、熊本が3割強、残りが他拠点という構成比だったが、熊本地震による被災やその後のBCP(事業継続計画)対策および増強投資などによって、現在は山形が4割強、長崎が4割弱、残りが熊本という構成に変化している。

■高画素品へ生産シフト
 生産品目別でみると、熊本は引き続きデジタルカメラ向けの比率が高いが、他の拠点はモバイル用が主力であり、実に生産能力の9割をモバイル用に振り向けている。

 生産するモバイル用イメージセンサーの解像度別でみると、現在は800万画素以上に特化している。(1)800万画素、(2)1200万/1300万画素、(3)1600万画素、(4)2000万画素以上の4つに分けると、ウエハー投入枚数ベースで(3)が45%を占めて最大。次いで(2)と(1)の順となり、(4)もすでに10%以上を占めている。

 これを拠点別に見た場合、(1)は山形で生産する比率が最も高く、(2)は山形を最大拠点として、長崎と合わせて95%以上を生産している。逆に(3)と(4)は長崎の生産量が最も多く、(4)に関しては長崎、熊本、山形の順に生産量が多い。

■投資余力は十分
 前回のコラムでも述べたが、近年はイメージセンサー各社の収益力に明確な差が付いてきた。

 例えば、ファブレスの代表格であるオムニビジョンは、製造の大半をTSMCに委託するという事業の性格上、付加価値を上げづらくなっている。一時は、中国ファンドリー各社が短期間のうちに潤沢な生産能力を準備し、中国生産でコスト競争力を高めるのではとみられていたが、現在までに十分な生産能力を確保できていないことも、オムニビジョンをはじめとするCMOSイメージセンサーファブレス各社の台頭を妨げているといえる。

 こうした状況から、モバイル用においては、ソニーのライバルは韓国のサムスン電子に絞られた感がある。スマホの3眼化が進めばサムスンにも大きな恩恵をもたらすだろうが、一方でサムスンは車載用の認定取得に苦戦していると伝わっており、ここでソニーは1歩も2歩もサムスンに先行している。

 このように、ソニーのイメージセンサー事業の強さは近年ますます際立っている。全社ベースの業績回復、そして半導体事業の高収益化(17年度の営業利益率は19%超)によって、現在のソニーには十分な投資余力がある。さらに競争で優位に立ち、事業効率を高め、各工場にどのような役割を持たせていくのか。イメージセンサーへの投資を今後どこに向けるかが、きわめて重要な意味を持つと考えている。
(本稿は、李氏へのインタビューをもとに編集長 津村明宏が構成した)




IHS Markit Technology 主席アナリスト 李根秀、お問い合わせは(E-Mail : KunSoo.Lee@ihsmarkit.com)まで。
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