電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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19年末に2眼比率6割へ


~スマホカメラの複眼化~

2018/11/22

 以前のコラム(https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=2744)でも述べたが、2018年に入ってスマートフォン(スマホ)のカメラの多眼化が急速に進んでいる。これまでは、出荷台数の伸び鈍化や中国メーカーの参入に伴う過当競争によってスマホ用イメージセンサー市場は低迷し、市場拡大の牽引役は自動車やドローン、セキュリティー(監視カメラ)、産業分野などに移行すると考えてきたが、多眼化によって今後数年は再びスマホ用が需要拡大を大きく牽引する役割を担いそうだ。

 当社の調査によると、スマホにおけるリアのデュアルカメラ(2眼)の搭載率は、18年4~6月期時点で3割を超えた。これまで数多くの電子機器・技術のシェア調査を手がけてきた経験から申し上げると、シェアが2割を超えるまでは黎明期であり、参入各社には厳しい事業環境が続くのだが、2割を超えた時点から普及に一気に弾みがつく。


 ファーウェイはカメラの搭載個数でスマホを差別化する戦略を打っており、いち早く3眼スマホも市場投入した。アップルも主力を2眼に移行しつつあり、これまで前記2社に比べると複眼化に消極的だったサムスンも今秋に4眼スマホGalaxy A9を発表した。価格がこなれてきたことでスマホへの搭載が進み、端末価格が10万円を超えなければ消費者の購入意欲が高いことも経験則として分かってきた。搭載率が3割を超えた2眼化はすでに「業界のトレンド」であり、今後もこの流れが加速するとみて間違いない。


 当社の最新予測では、リア2眼カメラの搭載率は19年末に6割を超える。また、同じく19年末時点で3眼以上のカメラ搭載率も8%にまで上昇するとみており、これを合計すると19年末にはスマホの7割以上が2眼以上のリアカメラを搭載することになる。

 さらに、2眼以上のリアカメラ搭載率は20年に88%、21年には95%まで上昇し、22年には全スマホが2眼以上のカメラを搭載する、つまり単眼カメラを搭載したモデルは姿を消すとみている。

 この搭載率のシナリオをイメージセンサーの需要数量に落とし込むと、17年に年間で約15億個だったイメージセンサーの需要は、複眼化の進展によって20年には2倍の30億個に達し、22年には35億個に近づくことが予想される。これはリアカメラに限った予測であり、認証用カメラが普及するとカメラ需要はさらに積み上がる。

 このシナリオどおりに搭載率が上昇するかどうかは、(1)供給能力、(2)スマホ市場の動向にかかってくる。

 (1)は、主要メーカーであるソニー、サムスンがイメージセンサーの増産投資を今後どのくらいの規模とペースで進めるかがカギを握る。両社とも増産に意欲的だが、一方で、中国半導体メーカーの投資動向が両社にとって新たなリスクとなる可能性がある。

 中国には監視カメラやスマホの大手メーカーが複数あるため、昨今の貿易摩擦に対抗して半導体の国産化を進めるにあたって、イメージセンサーは国産化する優先度が高いデバイスといえる。ソニーやサムスンの技術レベルに中国勢がすぐに追いつくとは思えないが、先行メーカーが増産投資のタイミングを逃せば、先々のシェア競争に影響を及ぼすことになるだろう。

 (2)については、買い替えサイクルの長期化などによって、スマホの販売台数にどれだけブレーキがかかるかを注視する必要がある。すでに「アップルショック」としてiPhone新モデルの販売低迷が報じられているが、19年初頭にもう一段の需要落ち込みがあるようだと、複眼化のペースはスローダウンを余儀なくされるだろう。




IHS Markit Technology 主席アナリスト 李根秀、お問い合わせは(E-Mail: KunSoo.Lee@ihsmarkit.com)まで。
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