商業施設新聞
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第199回

アークランドサービスホールディングス(株) 代表取締役社長 臼井健一郎氏


「かつや」など複数ブランドを展開
海外への展開も注力

2019/10/1

アークランドサービスホールディングス(株) 代表取締役社長 臼井健一郎氏
 アークランドサービスホールディングス(株)(東京都千代田区神田駿河台4-3、Tel.03-5217-1531)は、とんかつの「かつや」を中心に、からあげの「からやま」「縁」などを展開している。かつやはリーズナブルで美味しいとんかつ、カツ丼が食べられる店としてファンも多く、国内店舗数は8月9日に400店を突破するなど勢いがある。今後の戦略や、展開などについて同社代表取締役社長の臼井健一郎氏に聞いた。

―― 2019年度上期を振り返って。
 臼井 既存店業績に関しては、ほぼ想定の範囲内で推移した。ただし、当社がフォーカスするのは客数であり、これに関しては上期の6カ月中(19年1~6月)、前期比で4勝2敗だった。ただ、想定以上に客単価の落ち込みが目立ったため、5月中旬からメニューを変更し、客単価の回復を図った。
 その結果、客単価は前期水準に戻ったが、客数は前期を下回ることになった。ただ、客単価を下げるというのは、結果的に自分たちの首を絞めることになる。なので、(客単価を)上げるつもりはないが、維持はしていきたい。

―― 出店については。
 臼井 上期は物件が取得しづらい状況で、当初計画で見ると、予定より若干進捗が遅れている。物件開発が遅れているのは全国的な傾向だが、特に首都圏で物件が取得しづらい。あとは、家賃の高騰もある。東京もそうだが、とりわけ神奈川は家賃の相場、上昇率が高いと感じる。「だから出店しない」というわけではないが、実際、エリアに市場や規模はあるが、家賃が高いために出店立地から外すということも出ている。

―― 現在の店舗数は。
「かつや」は国内400店を達成
「かつや」は国内400店を達成
 臼井 「かつや」は直営128店、FC272店の計400店。からあげ定食店の「からやま」は74店、持ち帰りからあげ店の「縁」は21店など。
 「かつや」は国内店舗数が400店を超え、出店場所も限られてくる中で、カニバリも含めて徐々に物件が獲得しづらくなってきた。一方の「からやま」は現状、バッティングや自社競合するエリアがなく、出店しやすい環境にあるため、出店数が多くなっている。「かつや」は、店舗数が増えたことでカニバリが起こってくるが、個人的には1000店作れるイメージを持っている。以前は600店くらいが限界かと思っていたが、今400店ある中で、例えば新店を既存店から2km、5kmの場所に作っても、売り上げが減ることなく共存できている。従って、まだ成長の余地はある。

―― 出店エリアに関して強化したい場所は。
 臼井 現在、北海道、東北、北陸、北関東、関東、中京、近畿などに店舗ネットワークが広がっている状況なのだが、点在しているので、どうやってこれを面にするかを考えたい。出店を強化したい場所というよりも、既存店があるエリアの市場を早めに埋めていきたい。

―― 海外展開は。
 臼井 今、直営店は韓国とアメリカ(ロサンゼルス)、合弁会社で香港と台湾、FCでタイ、フィリピンに出店している。中でも、タイは非常に出店意欲の旺盛な加盟店が事業展開を行っており、海外では今最も出店の勢いがある。また、スケジュールは流動的だが同社はこの後、ベトナムにも1号店をオープンする予定である。加えて、フィリピンはカレーの「Camp」が2店あるが、年内に「からやま」の1号店がオープンできると思う。
 新しい進出国は、8月に中国にオープンしたほか、年内にはシンガポールにも出店する計画だ。

―― 新業態は。
 臼井 2つの新業態を開発し、そのうち1つは「江戸前天丼はま田」で、7月12日に韓国で1号店を開業した。日本での展開は東京・練馬に出店しスタートした。

―― 中長期的な目標は。
 臼井 25年を目標に、売り上げ1000億円を目指したい。また、事業展開では冷凍のとんかつ、からあげなどを作る食品メーカーも担いたい。現在、当社の食肉のカット工場で、「からやま」や「縁」と同じ品質のものが作れるよう、テストを繰り返している段階だ。

(聞き手・編集長 松本顕介/若山智令記者)
※商業施設新聞2310号(2019年9月3日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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