商業施設新聞
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No.728

フードコートは流行に左右されない良さがある


高橋 直也

2019/10/21

 フードコートとフードホール。違いは何かと言われれば、「おしゃれなフードコートがフードホール?」となるだろう。「?」と書いたが、明確な基準がないので、誰もはっきりとは答えられない。ただ、フードホールは市中の人気店などが出店し、場合によっては「商業施設初」「新業態」といった、従来ならレストランフロアに出店していてもおかしくないものが揃う。フードホールは昨今の商業施設における集客のカギになっており、今後開業する多くの商業施設にも出店する。そんなご時世だが、フードコートの素晴らしさを再認識した。

 事の発端は、近所の商業施設にフードホールが導入されたことだ。地元の名店や、市中では行列ができるブランドを誘致したフードホールであり、かなり賑わっている。私見だが、その商業施設で一番賑わっているエリアではないか。近所ということもあり、出店している店は一通り利用した。やはり美味しい。出店しているラーメン店は、メディアで度々紹介されている人気店で、普通なら並ぶところだが、フードホールでは席さえ空いていればすぐに味わえるのも嬉しい。席など共用部のデザインも感度が高く、照明はやや照度を絞ってなんだかオシャレだ。いい事ずくめである。と思いきや、最近、このフードホールを利用する機会が減った。特に何があったわけではない。飽きたからだ。

フードコートはどこか落ち着く
フードコートはどこか落ち着く
 出店している各店は市中の競争を勝ち抜いた店を誘致したせいか、なかなか味の主張が激しい。間違いなく美味しいと思うのだが、前述のように家の近所であり、日常使いをする。そうなると、年のせいもあって、何だか、もう、くどくて……。空間のデザインも最初はおしゃれに見えたのだが、慣れてしまったせいか最近は「照明が暗い。本が読みにくい」と思うようになった。その時気付いたのである。以前は毎週のように、あるショッピングピングセンターのフードコートを使っていたが、飽きたことなど一度もなかったことに。

 フードコートは「マクドナルド」などハンバーガー店のほか、「丸亀製麺」などうどん店などが出店することが多い。いずれのブランドもかなりの出店数であり、立地を見てもショッピングセンター、駅ビルなど多様だ。言い方を変えれば、珍しさはない。しかし、親しみがある味というか、マクドナルドのチーズバーガーは子供の頃から食べているが飽きない。空間デザインや座席も、肩肘張らずに利用できるものが多く、近所をフラつく格好でも気兼ねなく使える。フードホールが流行っていることもあって、筆者の中に「フードコートなんて時代遅れ」という考えがどこかにあったかもしれない。しかし、それは違っていた。いつでも、どんなシーンでも気軽に使える。それがフードコートだ。

 ここで思い出すのは、最近商業施設の取材をする際、度々出てくる「可変」という言葉だ。オーバーストアが進み、他の施設との差別化が求められている。そのため運営者は何度来館しても新鮮な気持ちになれるようにポップアップストアなどを導入している。しかしフードコートは変えなくてもやっていけるすごさがある。時代を超越した存在みたいで格好いい。もう少しフードコートが脚光を浴びてもいいと思うのだが。
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