電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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20年の半導体はプラス成長


~コンピューティングが牽引役に~

2020/5/1

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの調査会社が2020年の世界半導体市場の成長率をマイナスに引き下げるなか、当社は依然として2.5%のプラス成長になると予測している。

 確かに、スマートフォン(スマホ)は前年比で11%減、自動車は同14%減が見込まれるなど、世界の電子機器市場全体で見れば、20年は19年比マイナスが避けられない情勢にある。だが、半導体市場に限れば、自動車向けは7.5%減、コンシューマー向けは0.4%減と落ち込むものの、データセンター(DC)が牽引役となるコンピューティング向けは6.4%増が期待でき、これが成長の牽引役になる。

 コンピューティング分野の半導体デバイスでは、メモリー市場の成長に期待している。5Gスマホの投入は当初の予定より遅れるだろうが、DC向けは19年12月から上がっており、ここに使用されるNAND、DRAMの市場は拡大する。19年時点で価格が下がり切ったNANDは20年に39%増、サーバー用が好調なDRAMは13%増を想定しており、コンピューティング用メモリーの市場は活況が続くだろう。

 サーバー市場に関しては、新型コロナウイルスによってプラスとマイナスの影響を受ける。プラス要因はリモートワークやゲーミング、ビデオストリーミングなどの増加によるクラウド需要の急増が挙げられる。一方、マイナス要因は企業活動の停滞に伴うIT支出の削減や投資決定の遅れ、サプライチェーンの停滞などが挙げられるが、最も大きいインパクトが外出禁止令に伴うDCサイト運用者の不足である。

 この運用者不足によって「クラウド需要が増加し、サーバーは出荷できても、立ち上げる人が足らない」ため、1~3月期、4~6月期ともにサーバー出荷台数は前年割れすることが見込まれ、顕著な伸びを示すのは下期以降になるとみている。もっとも、これは新型コロナウイルスの終息時期に影響を受けるが、外出制限が解除されれば極めて大きな伸びを示すことになるだろう。

 実のところ、サーバー市場では、出荷台数こそ毎年右肩上がりが続いているが、金額市場規模は18年をピークに19年はマイナスになり、20年も前年割れする可能性が高い。これには単価の下落、つまりDC向けをはじめとするコンピューティング市場で安価なサーバーを利用する機会が増えていることを示している。

 背景にあるのが、サーバー用CPUの変化。従来は基板1つにCPU2個を実装する「2個使い」が主流だったが、17年以降は基板1つにCPU1個という「1個使い」にトレンドが移ってきた。フェイスブックも最近は1個使いであることを公表している。背景には、CPU自体の性能が上がってきたことと、消費電力を下げたいという思惑があり、これが結果的にサーバーの単価下落につながっているのだ。

 従来の「2個使い」市場は、まさにインテルXeonプロセッサーの独壇場だった。だが、インテルが10nmへの微細化に手間取っている間に、AMDがチップレットを採用した「EPYC」を投入して性能を向上。Armも新規参入し、インテルのシェアを徐々に削り始めている。

 もっとも、インテルは依然として9割前後のシェアを維持しており、3D-XpointメモリーをはじめとするDC用エコシステムで圧倒的な強みを持つ。だが一方で、グーグルやクラウドフェアがAMDのEPYC採用を決め、AmpereやマーベルがArmコアベースのCPUを投入し、アマゾンが採用に動くなど、競争は激化している。当社ではAMDのシェアは2桁に乗る可能性もあると考えている。

 対するインテルも、イスラエルのプログラマブルディープラーニングコプロセッサー開発企業であるHabana Labsを約20億ドルで買収し、出遅れていたAI対応を強化。一方で、Nervanaシリーズの開発終了を決め、方向性を明確にした。

 インテル、AMD、Arm陣営が激しく戦うこの市場に参入するのは極めて難しいが、グーグル、アマゾンのように自ら半導体を設計するケースや、サムスンのように積極的にチップ製造を請け負うメーカーもあり、大規模コンピューティング用のASICにはまだまだ大きなチャンスが眠っているはずだ。ルネサス、東芝、ソシオネクストなど日本企業にもぜひ開発に取り組んでいただきたい。
(本稿は、杉山和弘氏へのインタビューをもとに編集長 津村明宏が構成した)



Omdia 杉山和弘、お問い合わせは(E-Mail: KAZUHIRO.SUGIYAMA@omdia.com)まで。




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