商業施設新聞
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No.402

乱立する食品スーパー


永松 茂和

2013/3/12

 アベノミクスの影響かどうかわからないが、このところ急激に円安、株高が進み、一足早く春が来たかのような雰囲気も一部で見られる。そもそも景気は名前のとおり、マインドに左右されるとも言われるが、それを実感する。景気に最も敏感と言われる百貨店業界の1月の売上高は、景気回復への期待から2カ月ぶりの前年比プラスとなり、現実の景気指標にも上向きの数値がでてきた。

イオンへの譲渡が決まったピーコックストア
イオンへの譲渡が決まったピーコックストア
 ところが、大丸松坂屋系列でスーパーを展開するピーコックストアが流通最大手のイオンに譲渡されるという驚きのニュースが飛び込んできた。ピーコックストアは百貨店系列の高級スーパーであり、自宅近くのショッピングセンターにも出店していたためよく利用していた店だ。以前は他の食品スーパーとは違い輸入品などこじゃれた商品が並んでいたが、最近では売れ筋商品を並べ、従来とは異なる商品ラインアップになったように記憶している。

 そういえば周辺スーパーとの競争が激しくなり、競争力がなくなった店舗についてはEDLPの低価格化を推進する戦略に転換したことを思い出した。地道な立て直しも可能であったが、時間と金がかかるため、その分、成長分野に経営資源を集中することが得策と判断したのであろう。
 関係者に聞くと青山、高輪など都心部の店舗は比較的経営が順調であったが、郊外店舗が苦戦をしているという。ライバル企業で百貨店系のクイーンズ伊勢丹も各地区に分散した出店は取りやめて、百貨店店舗のある都心部の城西、城南エリアに絞り出店を行う方針転換を行っている。今や、高級スーパーでは差別化することは難しく、競争の波に飲まれて生き残れない時代が来たということだろう。

積極出店を進める食品スーパー最大手のライフコーポレーション
積極出店を進める食品スーパー最大手の
ライフコーポレーション
 今年に入ってから、自宅から歩いてすぐのところに大型の食品スーパーがオープンした。店舗面積2000m²で、駐車台数も100台以上を設けた堂々たる店舗だ。当然、品揃えも充実しているし、店舗が新しいこともあり買い物もしやすくなっている。
 ちなみに自宅の場所は狸が出るようなド田舎なわけではなく、ターミナル駅から歩いて10分以内であり、駅、エキナカ、周辺も含めて7つのスーパーが乱立する商業激戦地といっていい。聞いた話では近くにできた食品スーパーの影響からか、付近にあったスーパーの客数がめっきり減っていると聞いた。そういえば、駅前にある総合スーパーも客が減っているように感じるのは気のせいだろうか。

 この状況の中にあり、3月中には駅近に店舗面積1000m²規模の食品スーパーがオープンする見通しだという。競争が激しくなると脱落する店が出てくるのが競争原理だ。現在、NSCが隆盛であるが、それだけ出店余地が少なくなってきたということでもあり、店舗を利用する側もコンビニを利用するような感覚での施設利用が可能となってくる。仮にアベノミクスで景気が回復したとしても、企業間競争に勝たなければ生き残れない厳しい時代なのは間違いない。
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