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名市大病院、救急・災害医療センター新築、延べ2.8万m²の設計委託へ(2)


医療に専念できる職場環境/医療スキルを高める研修環境/患者の診療環境の各向上目指す

2020/12/1

建設予定地側から見た名市大病院
建設予定地側から見た名市大病院
 名古屋市立大学(名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1、Tel.052-858-7546=医学・病院管理部事務課施設管理係)は、公募型プロポーザル方式により、(仮称)名市大病院救急・災害医療センター新築の設計の優先交渉権者に(株)山下設計を選定した。

 プロポーザルの3つの課題の1と2を紹介した前回に続き、今回は3つのうちの最後、課題提案書3「救急・災害医療人の育成(上質な医療提供体制構築)のために、安全と信頼を育む空間の実現」を取り上げる。この課題に対し、山下設計は、(1)医療に専念できる職場環境の実現、(2)医療スキルを高める研修環境の充実、(3)安心して医療を受けられる患者の診療環境の向上を提案した。

 (1)では、個室型当直室、パウダールーム付き更衣室、LGBTに配慮したスペースの確保、エレベーターを含め、清・汚区域の明確な分離、抗菌性材料の採用、チーム医療を支援するスタッフコモンズ(SC)の配置などを挙げ、SCでは、食事や休憩などを通じてコミュニケーションの促進を図る。

 (2)では、救急エリアにも研修の立ち合いが可能なゆとりある治療スペースやベッドサイドスペースを確保するほか、情報ネットワーク整備において、5Gやオンライン診療などICT技術を用いた新技術や医療機関同士の連携を見据えて、サーバー室は更新・増築に柔軟に対応できるよう、倉庫に隣接して計画する。

 さらに、更新計画の高い施設として、常に最先端の技術・機器に対応可能なよう新設・変更しやすい荷重設定や余力を持った電気容量の設定、リプレイススペース・バッファーエリアの確保により、最新機器の導入などが容易な計画とする。

 自由度の高い研修フロアとして、様々な研修に対応する室形状の採用や奥行きの異なる諸室の配置とともに、最先端研修に対応可能なよう、可動間仕切り壁や水回りゾーンを設定するなど可変性の高い計画とする。

 (3)では、1)常に見守られている安心感がある環境として、WCを窓側に配置し、プライバシーと視認性を両立したベッドの配置とする、2)容態に沿った療養環境として、屋上庭園やバルコニー緑化などで屋内からも外部が感じられ、近接する建物が気にならない計画とする。また、ICUを含めベッドレイアウトが自由な縦横寸法とし、患者の容体に合わせたレイアウト可能な計画とする。

 3)付き添い家族への配慮では、遠距離来院者や付き添い家族が利用でき、宿泊も可能な家族控室を設置する。ICU病室は、外周部に面会廊下を設置、スタッフ動線と分離した安全な見舞ができる環境とする。

 4)立体ラウンジとスロープの室内化では、スロープを緩勾配で屋内化し、各階および中間部にラウンジを併設することで、踊り場の安全の確保に加えて、リハビリスロープとしての活用や、患者・家族の休憩・待合スペースとして日常的に利用可能とする。

 現在の病院建物は、04年1月竣工の病棟・中央診療棟(SRC・RC・S造り地下1階地上17階塔屋1階建て延べ6万6615m²)、07年5月竣工の外来診療棟(RC・S造り地下1階地上4階建て延べ9799m²)、12年5月竣工の喜谷記念がん治療センター(東棟)(S一部RC造り地下2階地上4階建て延べ1694m²)などで構成する。


 なお、同大学(Tel.052-858-7545=医学・病院管理部経営課契約調達係)は、抗がん剤混合調製装置1式の一般競争入札を公示した。確認申請書の提出期限は8月7日、質問の期限は9月17日、入札書の提出期限は10月2日で、10月5日に開札となる。履行期間は21年2月28日まで。

 また、同大学(Tel.052-858-7520=医学・病院管理部事務課施設管理係)は、名市大病院臨時駐車場舗装工事の入札後資格確認型一般競争入札を公示し、7月31日に申し込みを締め切った。8月19日に入札となる。予定価格は非公表。工事場所は、瑞穂区瑞穂通1-27-1(名古屋市博物館臨時駐車場)で、工期は、契約締結日から10月30日まで。工事概要は、博物館臨時駐車場(砕石、トラロープ区画線)をアスファルト舗装化し、駐車台数を現状の62台から72台に増設する。工事には、舗装工1式(約1600m²)、駐車場電気工事1式などを含む。

(編集長 倉知良次)
(この稿終わり)

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