商業施設新聞
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No.406

「超高齢社会」を生き抜くために


松山 悟

2013/4/23

高齢者利用を考慮して通路を広く取った「MEGAドン・キホーテ飯塚店」(3月15日開店)
高齢者利用を考慮して通路を広く取った「MEGAドン・キホーテ飯塚店」(3月15日開店)
 日曜日に家族のお供でスーパーに行くと、つくづくお年寄りが多くなったなと思う。お年寄りがレジで会計を終えたら、レジ係の人が商品の入ったかごを、袋に詰める場所まで運んでくれる姿をよく見かける。昼下がり、バスに乗るとこれもまたお年寄りばかりである。そして病院前の停留所で大半が降りてしまう。

 人口に占める65歳以上の割合が21%を超えると「超高齢社会」と呼ぶそうだが、日本は、2007年に21.5%(5人に1人が高齢者)となり、超高齢社会を迎えた。2年先の15年には25%(4人に1人)となり、50年には33%(3人に1人)になると人口推計で予想している。

3世代が利用する福岡市に3月15日に開店した「マクドナルド3号線松崎店」
3世代が利用する福岡市に3月15日に開店した「マクドナルド3号線松崎店」
 12年7月に、外食、宅配弁当事業を展開するワタミ(株)の渡邊美樹会長が、「ワタミ手づくり厨房岩国センター」(高齢者向け宅配弁当の製造工場)の進出協定締結の折、山口県庁において記者会見した。同社は04年に介護事業、08年に高齢者向けの弁当宅配事業に参入し、高齢化社会に素早く対応しており、会見の中で、「毎日決まった時間帯に手渡しを基本に宅配し、高齢者の介護見回りの役目も持たせる。また、宅配するスタッフは、60歳代を多く採用し、雇用の創出を図る」と述べ、事業に先見の明を感じた。

 会社を辞めた知人や友人に久しぶりに会うと、転職先は介護関係が多い。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホームなど高齢者対策が一つの産業になり、ますます拡大しているのだろう。また、既存の産業分野でも高齢者向けの製品として、機能をシンプルにした携帯電話、オムツ、入れ歯の洗浄剤などが思いつく。これからは今までなかった新しく開発した製品がどんどん誕生するだろう。

 そこで私なりにキーワードを挙げて、「高齢者辞典」を作ってみた。▽バリアフリー=住宅、建材メーカーの最優先事項。▽孤独=お喋りした後、回りの反応がない時に感じる心理。▽独身=高齢者用のお見合いサイトに登録する人。▽孤独死=葬儀場の事前予約可能。▽不自由=宅配弁当、ネットスーパー、便利屋が歓迎する暮らし。▽持て余す時間=カルチャーセンター、ヒルオケ(昼間にカラオケを歌う場所)に通うための時間。▽痴呆=痴呆症にならないためのセミナーに参加する正常な人。▽富裕層=百貨店で、店員に自分の子供の自慢をしながら、ショッピングする人。▽超富裕層=若返りホルモンを注射する人。

 高齢者対策でなんとか一旗挙げようと考えているうちに、自分自身がまもなく高齢者になることを忘れていた。
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