商業施設新聞
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No.807

城のある街づくり


松本顕介

2021/5/25

 出張で広島県福山市を訪れた。福山市では現在、「官民連携による福山駅周辺の再生」を進めている。歩きながら楽しめる街として、駅北側と南側をつなぐウォーカブルな街を目指す。駅南側には中央図書館と中央公園、一方駅北側には福山城が福山城公園内にある。ふくやま美術館や広島県立歴史博物館があり、その中心的存在が福山城なのだ。

 福山城は江戸時代に築城された最後の城郭。1622年に福山藩初代藩主水野勝成によって築城され、また、京都の伏見城から移設された確証がある日本唯一の建物で、戦災を逃れて今も当時のまま残っている。また『日本一新幹線駅に近い城』というのも、謳い文句なのである。新たに建設された再開発ビルが街のランドマークなどといったフレーズを耳にするが、いにしえの時より地域のランドマークとして君臨し続けてきたわけだ。どんなに高くても、どんなにピカピカでも、新興のそんじょそこらのランドマークとは年季が違う、ラベルが違う。

改修工事が進む福山城。大きなカバーがかけられその姿を拝むことができない
改修工事が進む福山城。大きなカバーが
かけられその姿を拝むことができない
 だが、訪れたとき、あろうことか改修中で、大きな覆いがかけられ拝むことができない。改修工事中は大抵足場が組まれてネットがかけられて少しは雄姿を拝めることが多いが、まったく外からうかがい知ることができず、出鼻を挫かれた感は否めない。どうやらリニューアルオープンは2022年8月28日だという。リニューアルオープン後は、以前筆者がインタビューし、本紙に登場したこともある世界的照明デザイナー、石井幹子氏監修による夜間ライトアップもある。2年以上もあるじゃないかと、うらめしく見上げると、その時は築城400年の記念事業も計画されているそうだから、「また来てくれよ」と語りかけているようだった。

 翌日、別の取材で東に行くため、福山駅からJR姫路駅で降り、そこから山陽本線に乗り換える際、JR姫路駅を走る目抜き通りに目をやると、その先に白く浮きあがるような威光を放つ建物が見えた。白鷺城いわんや、世界遺産にも指定されている姫路城だ。シラサギが羽を広げているような優美な姿から白鷺城の愛称で親しまれている。2009(平成21)年から2015(平成27)年に姫路城大天守保存修理工事「平成の大修理」リニューアルオープン直後に訪れた以来だが、姫路城を拝むことができたのはラッキーだった。じっくり見学したいが、残念、時間がない。しかし、城のある街は味わい深い。どんな街づくりになるか、想像を膨らませながら先を急いだ。
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