商業施設新聞
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No.424

浅草の変貌


永松 茂和

2013/9/3

観光客でにぎわう雷門
観光客でにぎわう雷門
 街が大きく変わる要因はいくつもある。新駅ができた場合、大規模なニュータウン開発、区画整理事業、大型の市街地再開発事業など様々だ。商業記者を長年やってきて、これまで幕張メッセ、千葉ニュータウン、台場の湾岸エリア、木更津の海浜エリア、東京スカイツリー周辺エリアなどが大きく変貌したのを垣間見てきた。街ができれば人、金、物が集まるのは当然であり、今では観光スポット化しているところも多数ある。エリアの規模の大小はあれ、国内のいずれかの地域でいくつかのホットなポイントがある。

 その1つが浅草エリアだ。2012年5月に話題の東京スカイツリーがオープンし、近接エリアということもあり、以前からその影響を受けさらに活性化するといわれていた。

人通りが絶えない浅草新仲見世商店街
人通りが絶えない浅草新仲見世商店街
 そもそも浅草は江戸の情緒が残る東京都内の代表的な観光スポットであり、日本全国各地からだけでなく、外国からも多数の観光客が訪れ、日本観光のゴールデンルートの1つとなっている。
 事実、平日に浅草に行ってみると、夏休みのせいもあるが家族連れが多数で、一方では多くの外国語が飛び交い、観光の人力車が道路を走るなど、スーツ姿で歩くには不釣合いな気もするほどだ。

いくつもの工事が進む浅草六区地区
いくつもの工事が進む浅草六区地区
 その浅草がさらに大きく変わろうとしている。その舞台は、古き良き江戸の情緒を残す街として人気がある浅草六区地区である。つくばエクスプレス寄りの西の玄関である浅草六区地区は、古くから興行街として栄えていたせいもあり、風俗などがある歓楽街としてのイメージが強い。そのイメージ通りに、実際ストリップ劇場、パチンコ店、飲み屋、場外馬券場があり、男性には馴染み深いが、女性は近寄りにくいという一面がある。つまり、浅草は東と西で大きく異なる側面を持っているわけである。このため区が先導して、同地区を街並み誘導型地区に設定し、人の流れを呼び込もうと試みている。

 すでにこのエリアでは、ドン・キホーテが東京・浅草の旧浅草大勝館跡地に延べ6000m²規模の出店を計画している。
 東京楽天地は、東京・浅草六区地区での再開発「まるごと日本プロジェクト」を実施する。「浅草東宝会館」と「楽天地浅草ボウル」を建て替え、低層部に全国各地の物産品などの販売を行う商業施設、中高層部に客室数300室規模のリッチモンドホテルが入居する複合施設を建設する計画だ。

 松竹(株)の子会社である中映(株)も、映画館5館が入居する東京都台東区浅草2丁目の浅草中映ビルを改築し、商業施設を建設する。
 さらにテーオーシーは、東京都台東区浅草にある「ROX3」の建て替えを行い、地域交流型複合商業施設とする計画だ。施設工事は着々と進んでおり、この計画だけ見てもエリアが大きく変わるのは想像がつくであろう。
 今まさに浅草は、「新旧混在の魅力ある街」へと変貌を遂げようとしている。
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