商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.895

マスク無し生活が目の前に


新井谷千恵子

2023/2/21

 政府は3月13日から、マスク着用に関して「個人の判断に委ねる」という方針を発表した。コロナ禍に突入してからおよそ3年、ついに平常時に戻るための新たな一歩が進められようとしている。しかし「個人の判断に委ねる」とはするものの、医療機関を受診する場合や通勤ラッシュ時の電車やバスに乗車する際には着用を推奨するとしており、時と場合を鑑みてマスク着脱を判断する人が多くなりそうだ。

 マスクというと、コロナ禍初期では不織布マスク不足により布マスクが市場に多く出回っていた。最近では布マスクを目にする機会はぐんと減り、一時期は商業施設内でもよく目にしていた「マスク専門店」もほとんど見なくなった。マスクの安定供給に伴い専門店でマスクを購入する必要がなくなったこと、さらには布マスクの安全性への懸念などにより、マスク専門店市場は急激に縮小したものと見られる。

 ところ変わって飲食業では、コロナ禍を通じて非接触・非対面、個食対応など、かつての飲食業では考えられないような取り組みが進められた。今や“一人焼肉”は割と普通のこととなり、市民権を得ている。ロボットが配膳を行っていることにも、驚く人はほとんどいないだろう。もちろん、かねて言われていた人手不足対策の側面もあるだろうが、やはりコロナが大きく後押ししたのは間違いない。
 さて、マスク着用緩和など、ようやく「平常に戻る」というゴールが見えつつある昨今。しかし筆者には一つ疑問がある。それは「コロナ禍で進められた新しい取り組みはどうなるのだろうか」ということだ。前述のマスク専門店のように、緊急時の特需に準じて急激に広がっては縮小していくということもあるが、一人焼肉などは果たしてどうなるのか。誰かと一緒に食事をすることに抵抗感がなくなったら、もはや成立しないのでないだろうか。いやもしかしたら、従来個食には一定の需要があり、それを掘り出してできあがったかもしれず、急に需要がなくなることはないのだろうか。

イオンリテールが展開する「レジゴー」
イオンリテールが展開する「レジゴー」
 コロナ禍真っ只中では、とにかく“新しい生活様式”に対応するべく、多くの事業者が様々な施策を実施していた。イオンリテールのスマートフォンを用いたセルフレジ「レジゴー」なども、コロナ禍の最先端の取り組みとして話題を集めていた。こういった新しい取り組みは、今後も生き残れるのだろうか。その動向は注意深く見守っていきたい。
サイト内検索