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DBJの植村佳代氏、介護ロボを講演(3)、普及の技術的要因は25%のみ


2015/10/20

植村佳代氏
植村佳代氏
 (株)日本政策投資銀行(DBJ)の植村佳代氏による介護ロボットの講演の連載3回目は、「わが国ロボット産業の発展に向けた課題と展望」を紹介する。

 植村氏は、まず、各国の介護ロボットに関連した制度について触れた。福祉国家であるデンマークおよびスウェーデンでは、医療・福祉は国、自治体により提供されるため、保険制度による運用はなされていない。対して、米国は主に民間保険、日本は国民皆保険制度のもとで運用されている。

 そのため、北欧では介護ロボットを利用する際、国・自治体がロボットを購入し、利用者に利用料金の負担は発生しない。一方、日本および米国は、主に施設・個人がロボットを購入し利用する点が異なっており、その際、日本では、介護保険レンタル対象の場合の利用者負担は1割、米国では医療機器対象の場合は保険適用となるものの、保険適用がない機器を利用する場合は利用者負担が大きくなる点に言及した。このような制度的な違いを念頭に置いた上で、わが国における介護ロボット産業の発展に向けた取り組みを考える必要があるとした。

 また、ロボット技術とテスト環境の比較においては、欧州、韓国と比べ、米国、日本は技術力で勝るものの、テスト環境は欧州が抜きん出ていると分析する。特に、医療・福祉が国により提供される北欧は、テストベッドが自治体レベルで確保可能なためテスト環境が充実しているとした。複数の自治体と連携し、テスト環境を有するスウェーデンの「Robot Dalen」の資料を引用し、介護ロボットを実社会で適用する際に、「技術」が占める割合は25%に過ぎず、残る75%は、政策、法律、ロボットに対する受容・態度、ロボット活用の作業プロセス、訓練といった領域に依拠すると解説し、ロボットの普及・導入を進めるためには様々なステークホルダーを巻き込む必要があるとした。

(続きは本紙で)

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