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ベネッセスタイルケア、介護事業20周年にシニア・介護研究所を設立


奥村太作事務局長「20年間の知見と調査・研究結果の共有で参入障壁を取り払い、業界発展へ貢献」

2016/1/26

奥村太作氏(右)と福田亮子氏
奥村太作氏(右)と福田亮子氏
 (株)ベネッセホールディングス(岡山市)のグループ会社である(株)ベネッセスタイルケアが2015年11月11日に設立した社内シンクタンク「ベネッセ シニア・介護研究所」の連載2回目は、ベネッセ シニア・介護研究所の組織体制、研究調査を支える既存施設群、介護事業20年を貫いている運営方針について紹介する。

 研究所は、滝山真也所長のもと、事務局長の奥村太作氏、主任研究員で博士(学術)・理学博士の福田亮子氏はじめ2人の研究員、事務局員2人の体制である。

 研究所の名誉顧問として(福)浴風会 認知症介護研究・研修東京センターの名誉センター長で聖マリアンナ医科大学 特別顧問・名誉教授の長谷川和夫氏、顧問には国立長寿医療研究センター 長寿医療研修センター長の遠藤英俊氏、東京大学名誉教授の甲斐一郎氏、日本歯科大学教授で口腔リハビリテーション多摩クリニック院長の菊谷武氏が就任した。

 研究所では、テーマに応じて同業の法人や異業種の法人とも共同で調査・研究するほか、公的な機関からの調査・研究を受託する可能性もあると考えている。すでに着手しているものとしては、東京大学医学部附属病院老年病科との共同研究(介護予防やさらなる健康寿命の延伸がテーマ)がある。

 調査・研究の軸として、(1)高齢者・介護に関する未解決のテーマに取り組む、(2)現場の実態やご利用者・ご家族・介護スタッフの声を発信すること、(3)介護人材の成長とキャリアにフォーカスした研究を掲げ、その軸に沿って、「健康寿命の延伸」「認知症」「介護予防」「QOL」「看取り」「機器」「ロボット」「システム」「ビッグデータ」「人材育成」「介護の仕事の価値」「介護離職」などのテーマを挙げている。

 介護事業スタート20周年を機に同研究所は設立されたが、母体であるベネッセスタイルケアは、15年12月1日時点で入居事業は288拠点(有料老人ホーム283、グループホーム2、ケアハウス1、サ高住2)、在宅介護事業として介護センター28拠点、デイサービスセンター6拠点を擁し、さらにサ高住の運営受託の1拠点(東京都内)がある。ほかに40の保育園と5カ所の学童保育事業を手がける。

 運営受託を除く高齢者事業所の分布は、▽札幌(入居2、在宅1)▽仙台(入居3、在宅2、通所3)▽埼玉(入居23)▽千葉(入居9)▽東京(入居141、在宅10、通所2)▽神奈川(入居53、在宅4、通所1)▽名古屋(入居17、在宅2)▽京都(入居2、在宅1)▽奈良(入居1、在宅1)▽大阪(入居14、在宅2)▽兵庫(入居19、在宅3)▽岡山(入居4、在宅1)▽広島(在宅1)。

 また、配食サービスを手がける(株)ベネッセパレットが東京都内で6拠点の配達拠点を運営、介護相談室の(株)ベネッセシニアサポートが都内で3拠点を運営する。

 20年間にわたり、(1)ベネッセの理念に基づく事業運営(年をとればとるほど幸せになる社会の実現、自分や自分の家族がしてもらいたいサービス、老人ホームを住宅地に、選べる7つのシリーズ)、(2)お客様への提供価値と連動した人事制度・人材育成(まるで自分で動いているかのように感じられる介護技術、生き方とこだわりを大切にした生活プラン、心のありかをチームで見つける認知症ケアなど)、(3)エリアドミナンス、地域連携・地域貢献(介護・医療に関する地域向け無料講座年間1000回:14年度実績・全国、モデル地域:東京都世田谷区)、(4)最後までの寄りそい(看取り)、(5)介護離職問題への取り組みを貫いている。

 エリアドミナンスのモデル地域である世田谷区では、老人ホーム30拠点を運営しており、4月には桜新町に老人ホーム、保育園、学童の複合施設を開設する予定である。

 ベネッセ シニア・介護研究所の事務局長の奥村太作氏は、「介護に対し、機器メーカーや金融機関をはじめ、介護事業を予定する法人など様々な業種、企業が強い興味を持っているが、介護の現場について実感がなかったり、例えば、認知症の方への対応なども知らないことが多いと聞く。ベネッセには、20年間にわたり実践し、蓄えてきた知見があり、これを研究所が様々な形で発信していくことで、介護業界の持続的発展につながるよう貢献したい」と抱負を語っている。

(本紙編集長 倉知良次)

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