商業施設新聞
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No.451

デビュー


松本 顕介

2014/4/1

 プロ野球が開幕した。昨年のドラフト会議で指名を受けた話題の選手が続々と入団したが、このなかからも何人かの選手はオープン戦での活躍が伝えられている。長いペナントレースのなかで期待にたがわぬ活躍ができるか注目なのである。

 新人選手でありながら、オープン戦の余勢を駆って1年目からバリバリ活躍することも少なくない。新人王にとどまらず投手なら最多勝、防御率、奪三振、ゴールデングラブ、打者なら首位打者、最多安打、打点、場合によってホームラン王とタイトルを総なめにした選手は、球史に名を残す。記録だけでなく記憶にも残る。そんな話題豊富ならシーズン終わりを待たずとも、見たいと思わせて客の呼べる選手になる。おまけに甘いマスクも備えていれば言うことなし。“〇〇女子”が球場に大挙して押し寄せ、グッズが売れるなどの効果もあれば、球団としてはほくほくだ。

 だが、「2年目のジンクス」の言葉どおり、1年目に大ブレイクした選手は2年目が肝心だろう。他球団からは当然研究されるし、場合によっては酷使がたたり、2年目以降鳴かず飛ばずといったケースも珍しくはない。また、期待されながらも1軍の試合に出ることなく、ひっそりと引退していく選手も多い。活躍できるのは一握りの選手のみで、やはりプロは厳しい。

新設や大幅リニューアルした商業施設は新業態のデビューの場となる(写真は3月20日にオープンしたコレド室町)
新設や大幅リニューアルした商業施設は
新業態のデビューの場となる
(写真は3月20日にオープンしたコレド室町)
 翻って、今春も数多くの「新業態」がデビューした。そんなルーキーには新設や大幅リニューアルした商業施設のオープンという舞台が用意された。目新しいショップは集客の目玉になるため、“新業態”、“日本初”、“エリア初”などという冠がつけられ集客に貢献する。春は新しい商業施設とともに、新業態の「ルーキー」達の見本市ともいえる。

 この新業態の明暗が分かれることも数知れない。オープン後から長蛇の列で、入場規制となることもしばしば。幸先のいいスタートを切るのはいいが消費者の心は移り気で、飽きも早い。

 一方で、MDが固まっていないのか品揃えがもうひとつ中途半端であったり、店内も広々としているといえば聞こえはいいが、間延びしているものもあったりする。さらには店舗運営などのオペレーションも改善の余地があるのではという店も見受けられる。

 だが、さほど目立ったスタートができなくても、いずれ熟成させて進化させていくことも多い。ニーズに合った、またはニーズそのものを作り出すMDや品揃えを充実させて、徐々に認知されじわじわとファンをつくっていく。そして他の施設から熱烈オファーを持って迎えられる。

 選手と新店。何かと共通点は多い。ルーキーイヤーを乗り越え2年目。他チームとの競争だけでなく、翌年には有望な新人やトレードで大型選手が入団し、ポジション争いが熾烈を極めることはざら。その業態が当たれば他企業が類似したものを投入してくるのは想像に難くない。今年のルーキー達、息が長いのはどこだろうか。
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