商業施設新聞
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第506回

東山遊園(株) 星が丘グループ 社長 水野宏洋氏


約50店のアウトモールを運営
星が丘ボウル跡地を複合開発

2025/11/25

東山遊園(株) 星が丘グループ 社長 水野宏洋氏
 緑が多く文教地区でもある星ヶ丘(名古屋市千種区)に、郊外型百貨店やショッピングセンターを集積し、1つの“街”として成長してきた「星が丘テラス」。運営する東山遊園(株)は2023年に「ボタニカルタウン宣言」を掲げ、上質なライフスタイルの提供から社会課題の解決へと方針を転換し、直近は「(仮称)星が丘ボウル跡地プロジェクト」を始動するなど、商業開発に積極的な姿勢を見せている。東山遊園の水野宏洋社長に話を聞いた。

―― 貴社の沿革を。
アウトモールとして展開する「星が丘テラス」
アウトモールとして展開する「星が丘テラス」
 水野 「東山動植物園」が開園して以来、名古屋市が東のほうに延びてきた。当社は1947年の貸しボート業から始まり、70年にボウリング場や自動車学校を整備し、74年に「オリエンタル中村百貨店」(現在の星ヶ丘三越)を誘致した。80年代に「星ヶ丘スポーツP&S」を開業したが、徐々に街に求められるものが変化していったため、2003年に星が丘テラスをオープンした。

―― 星が丘テラスの特徴について。
 水野 店舗数は約50店を数え、道路を挟んで東側に「East棟」、西側に「West棟」が立地するアウトモールが最大の魅力だ。マルシェなどのイベントが開催しやすく、四季折々の変化も身近に感じ取れる。その反面、夏の猛暑や豪雨などの影響も受けやすい。
 坂道に立地するので店舗面積は制限される。最小で約8坪、最大で約200坪となり、West棟では30坪が平均だ。坂の上から見ても、坂の下から見ても、街並みに見えるのが特徴でもある。East棟に立地する「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」では、店内に階段を設け、ウィメンズ区画を独立させるなど、工夫を凝らしている。

―― ボタニカルタウン宣言とは。
 水野 これまでの上質なライフスタイルの提案から、人と自然を思いやり、社会課題の解決を図ることに方針を転換した。障害者を雇用するチョコレート店、地産地消を謳う八百屋など、同じ買い物でも人に、自然に優しくなれるようなテナントを導入している。
 星ヶ丘は名古屋市最大の繁華街である栄と郊外の大規模モールに挟まれた立地のため、来館者数を倍増させるのはなかなか難しい。私たちやテナント、そしてお客様にもボタニカルタウン宣言に共感してもらうことが、他施設との差別化につながると考えている。

―― 星が丘ボウル跡地プロジェクトについて。
 水野 星ヶ丘は住宅街で、商業地で、緑地エリアで、文教地区でもあり、この4つが重なるのは名古屋市内で星ヶ丘だけだ。文教地区に指定されているため、開発に制限がかけられている。一方で、周辺には小中学校や高校、大学が複数存在する。昼間はこれらの学生で賑わうが、学校の敷地や緑地が占める割合が大きいため、1km圏内で十分な住宅地が確保できず、夜の人通りは少ないことが課題でもあった。
 こうした現状を踏まえ、星が丘ボウル跡地プロジェクトは「商」「学」「広場」「住」一体の複合開発プロジェクトとしている。一期工区に当社が新設する複合ビルと椙山女学園が建設する大学新棟、二期工区には東急不動産(株)と名鉄都市開発(株)が定借分譲マンションを建設するとともに、住宅下と対面には商業棟も新設する。一期の複合ビルには1~2階に「(仮称)星が丘 蔦屋書店」、3~4階に「(仮称)星が丘図書館」、5階に当社のオフィス、6階に劇場とホワイエ兼従業員の休憩スペースを設ける。

―― 開発のポイントを。
 水野 街に対して開かれた街区設計を進めている。例えば、椙山女学園の新棟は社会と学生が交わるゲートと位置づけ、低層階は地域とつながるコラボエリアとなり、その内部には新設する歩行者専用デッキが接続する。中央には開かれた芝生広場を設けるとともに、周辺には街歩きが楽しめるようなテナント業態などを導入し、開かれたアウトモールらしく、そこかしこの賑わいが街全体に滲み出るような開発を進めていく。

―― 将来の展望を。
 水野 25年3月期は「丸福珈琲店」や「フライング タイガー コペンハーゲン」などの新店の導入効果があり、売上高は前期比2.4%増を記録した。直近の4~6月は雨で苦戦したが、7月から回復傾向にあり、アパレルを含めて売り上げは好調に推移している。特に、催事区画の売り上げが好調だ。星が丘テラスは約50店と少なく、テナントリーシングは年にあっても数件程度だ。食の期間限定店「MOGMOG」など催事区画を敢えて運営することで、テナントリーシングの機会が増え、ひいては将来の改装に伴うテナントリーシングに役立てられると思っている。



(聞き手・副編集長 岡田光)
商業施設新聞2619号(2025年10月28日)(1面)
 デベロッパーに聞く 次世代の商業・街づくり No.471

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