海外への店舗展開の裏に、これをサポートする企業の存在がある。先日取材した(有)天辺ダッシュカンパニーもその一つで、同社は日本国内でラーメン店「活龍」を展開しながら、海外進出が進む日本のラーメン店をサポートすべく、国内で展開する製造事業の拠点を海外にも構え、来るべき時に向けて準備を進めている。
茨城県つくば市の活龍。活龍の成功をきっかけに天辺ダッシュカンパニーは成長を続けている
天辺ダッシュカンパニーは、茨城県を中心に活龍ブランドなどのラーメン店を展開している。活龍は2006年ごろ、当時東京都内で大ブームとなっていた濃厚魚介豚骨つけ麺を茨城県内に持ってきて、いち早く同県内で展開した。同社の店舗は12月現在で茨城県内にしかないが、26年には東京都内への進出も計画するなど、事業の拡大を進めている。こうした店舗事業を進める一方、同社の売り上げの7~8割を占め、今や事業の柱となっているのが、ラーメンの麺やスープの製造・卸を行う製造事業だ。この製造事業で同社は海外でのビジネス展開を行っていく。
天辺ダッシュカンパニーの海外事業は、海外出店ではなく、海外でラーメン店の展開を行う個人や企業を製造事業でサポートするもの。同社代表取締役の芝山健一氏は「35年に世界のラーメンマーケットは18兆円規模になる」と話しており、今後ますますニーズは高まっていくと予想する。実際に日本のラーメン店は海外展開が進んでおり、例えば(株)吉野家HDの「ばり馬」、重光産業(株)の「味千拉麺」、(株)ハチバンの「8番ラーメン」、(株)力の源ホールディングスの「一風堂」など、チェーン店だけでも複数の日本企業が海外でラーメン店を展開している。
ラーメン店で最も時間と手間がかかるのがスープの仕込みだといい、日本国内のラーメン店で大きな課題となっている以上、海外展開を行う上ではさらなる大きな障壁となる。天辺ダッシュカンパニーの製造事業はここをサポートしていこうというもので、日本国内でも評判の高い同社製造の麺とスープを、海外展開を行う日本のラーメン店に販売していく。この取り組みの初弾として、5月にインドネシアの会社を買収しており、ここに日本の製造事業のビジネスモデルを持っていく。インドネシアを軌道に乗せ、その後は東南アジア諸国に同様の形で拠点を設け、事業を展開していき、ゆくゆくはアメリカなどにも進出したい考えだ。
「日本のラーメン店の海外進出が続けば続くほど、当社のニーズは高まるだろう」と、芝山社長も期待を寄せる。海外進出をサポートし、二人三脚で歩む天辺ダッシュカンパニーの動向に注目したい。