電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第638回

HBM向け装置メーカーの市場参入に注目


韓国では有力企業が複数存在

2026/1/30

ハンミ半導体のHBM向けTCボンダー
ハンミ半導体のHBM向けTCボンダー
 2028年にはHBM(高帯域メモリー)市場が148兆ウォン(約15.8兆円)規模に拡大することが予測されるなか、韓国半導体装置メーカーの動きも活発化している。

 HBM向け装置については、ハンミ半導体(仁川広域市西区)とハンファセミテック(京畿道城南市)が採用実績を積み上げるなか、ジャステム(京畿道華城市)が次世代HBM工程向けのハイブリッドボンダーの研究開発を進めている。同社は半導体プロセスで湿度を制御するシステムで培った技術力を、ハイブリッドボンダーに応用する。ジャステムは「LG電子生産技術院とコンソーシアムを構成し、国策プロジェクトとしてハイブリッドボンダーの開発を進めている。ハイブリッドボンダーは依然として完璧なソリューションがないだけに、我々は先がけて実用化していきたい」と意気込む。

 また、エスエフエイ(京畿道華城市)は、AIベースのHBM非破壊検査装置を開発している。同社は「HBMの不良検出や分析を行うAI基盤の非破壊装置技術開発」というテーマの国策プロジェクトにて主管研究機関に選定されており、今後4年間で100億ウォンを投じる。同社はAIを搭載した高解像度の電気発熱検査機能に、高速のコンピューター単層撮影検査機能を統合した非破壊検査装置の研究開発を進める。

 ネクストティン(京畿道華城市)は、HBM光学検査装置の「Asper」を展開している。今後、HBMの製造工程には様々な新技術が導入されることが予想される。同社は、AsperがそうしたHBMのパッケージング工程において安定的な検査を実現し、50nm級の微細欠陥の検出まで可能と説明している。

ハンファセミテックのHBM向けTCボンダー
ハンファセミテックのHBM向けTCボンダー
 このように韓国半導体装置メーカーがHBM向けに注力する理由は、HBM市場の高い成長性にあり、ソウル証券街筋によると、サムスン電子、SKハイニックス、マイクロンなどが手がけるHBM市場は25年の350億ドルから28年には1000億ドル(約15.8兆円)規模まで成長する見通しだ。

ファブレスとファンドリーも健闘中

 11年に設立された非メモリー半導体のファブレスメーカーであるエイアイオー(京畿道城南市)は、携帯端末向けNANDフラッシュのコントローラーの開発で実績がある。現在、NANDコントローラー市場は台湾勢が高いシェアを有しているが、エイアイオーは30年に市場シェア20%の達成を目指している。

 サムスン電子やSKハイニックスもコントローラーを設計および生産しているが、自社のデータセンター向けNANDフラッシュ製品に向けた内製品としての位置づけだ。一方、エイアイオーはスマートフォン、UBSメモリー、SDカード、セットトップボックスなど、様々な端末向けのNANDコントローラーを設計しており、同社が25年に公開した製品は、テレビのセットトップボックスメーカーなど主に中国企業に供給した。また、22年にはBNWインベストメント(ソウル市江南区)から500億ウォン(約54億円)の出資を受け、27年にもKOSDAQ(韓国証券取引所の新興株式市場)への上場を計画しており、26年は売上高1000億ウォン(約108億円)を目指す。

 韓国バッテリー業界のベンチャー企業であるJRエネルギーソリューション(忠清北道陰城郡)は、バッテリーのファンドリー事業をESS(エネルギー貯蔵装置)分野にも拡大する。

 JRエネルギーソリューションは、半導体業界のファンドリービジネスをバッテリー産業に適用した企業だ。バッテリー工場を持たない欧米のスタートアップ企業や、リチウムイオン電池の歩留まり向上に苦慮しているメーカーなどが同社のファンドリーサービスを利用している。

 同社は米バッテリースタートアップ企業のC4V(米ニューヨーク州)とESS向けバッテリー電極のファンドリーLOI(基本合意書)を先ごろ締結した。具体的な契約金は公開しなかったが、今後3年間で1.8GWh規模のバッテリーを供給するとみられる。26年7~9月期から供給を開始し、供給量を徐々に増やす計画だ。

 同社は車載用やUAM(都市航空交通システム)向けのバッテリーを主に受託生産してきたが、C4Vからの受注で北米のESS市場へと事業範囲を拡大する。JRエネルギーソリューションはESS向けバッテリー事業の多様化により、さらなる成長が予想されており、ESSだけでなくロボットやドローン向けのバッテリー需要も増えつつあることから、韓国陰城工場におけるバッテリー生産能力を0.5GWhから1.5GWhへ増やす工事も進めている。


電子デバイス産業新聞 ソウル支局長 嚴 在漢

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