電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第659回

半導体メモリーの価格高騰は27年まで続く見通し、業界でパニック!


26年1~3月期も40~50%上昇機運で、もうどうにもならない

2026/2/13

 メモリーの価格高騰は、とんでもないことになっている。2025年10~12月期に40~50%も上昇したが、26年1~3月期についてもほぼ同じくらい上がるとの見通しであり、メモリーユーザーからの悲鳴が聞こえてくるのだ。

 例えば、ノートパソコン受託製造大手の台湾コンパルは、メモリー価格の高騰が27年まで続くと見ており、これは業界に大きな影響を与えるとの見方をしている。ところが、26年の世界のノートパソコンは出荷台数が数パーセント減少しているのである。それにもかかわらず、メモリーが足りないことによりパニックになるというのだから、只事ではない。

 この最大の理由は、メモリー大手3社(サムスン、SKハイニックス、マイクロン)がAIサーバー向けのDRAM(HBMを含む)の生産を優先しているからであり、パソコン向けDRAMには手が回らないのだ。しかして、無理はない。AI向けデータセンターは増設ラッシュが続いており、メモリー需要に供給が追いつかないのである。

 18年にもメモリー不足は起きていたが、これをはるかに上回る状況なのだ。具体的には、ワークステーションやサーバー向けとなる64Gb RDIMM・DDR5モジュールの価格は25年7~9月期の255ドルから25年10~12月期には450ドルへと高騰したのだ。さらに、26年3月にかけて700ドルに高騰すると予測されている。

 こうしたなかで、旧型DRAMが不足するという状態になっている。つまりは、ハイエンドもローエンドもみんなまとめてDRAM全体が不足しているのだ。26年のDRAM生産量は間違いなく、前年比20%以上増加するだろう。

SKハイニックスのHBM4
SKハイニックスのHBM4
 NANDフラッシュメモリーについても、在庫不足で価格は高騰している。こちらは、サムスンとキオクシアの2社が大手であるが、やはり生産逼迫という状況にあるのだ。

 各社のトピックスとしては、マイクロンがシンガポールで新たなNANDフラッシュメモリー工場建設に踏み切ることが決まった。10年間で240億ドルの投資を断行するのである。さらに、台湾PSMCの300mm工場を18億ドルで買収することを決めている。SKハイニックスは、48Gbの16層HBM4を発表し、またもや業界を驚かせた。同社は、世界のHBM市場で50%のシェアを握っているのである。そしてまた、これまでSKハイニックスの後塵を拝していたサムスンは、25年10~12月期に至って、再びメモリー分野でトップへ返り咲いたのである。

 それにしても、AIブームがこれほどまでに半導体メモリーの価格急騰と品不足を呼び込むことになるとは、1~2年前には誰も予想できなかったことではある。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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