ロイヤルホールディングス(株)(福岡市博多区)は、ロイヤルホストなどの外食事業に加え、ホテル事業として「リッチモンドホテル」を長年展開している。2025年4月には新ブランド「THE BASEMENT」をスタートし、今後はタイ発の世界的ホテルチェーンであるMinor Hotels(マイナー・ホテルズ)とタッグを組み、ラグジュアリーホテルの展開も進める。同社ホテル事業担当で、アールエヌティーホテルズ(株)ならびにロイヤルマイナーホテルズ(株)の代表取締役社長を務める本山浩平氏に話を聞いた。
―― 既存施設の稼働率など足元の状況は。
本山 稼働率は25年12月期第3四半期までの累計で約87%となり、前年同期が約79%だったことから堅調に伸びている。要因としてはインバウンドが大きいが、国内のお客様もしっかり取り込めている手ごたえがある。
東京の浅草や押上、京都など立地によってはインバウンド比率が高く、最近では福岡も大きく伸びている。一方で、仙台、高知、長崎などは国内需要が高い。押上に導入したサウナルームは需要が高く、旅行ではなく、サウナを目的に宿泊する方も多い。大阪は万博需要に恵まれ、会期中はインバウンドより国内の方が伸びた印象だ。
―― 直近のリッチモンドホテルは改装に注力しています。
本山 施設の老朽化への対応を目的としながら、近年は立地に合わせたリポジショニングを進めている。リッチモンドホテルはビジネスを中心に幅広いお客様が泊まれることが強みだが、観光のお客様にも満足していただけるような設えや部屋への改装を進め、土地の文化・風土を感じられるロビー内装などに切り替えている。
デザインや世界観をインバウンド向けに振り切った浅草や、ビジネス層に加えファミリー層もターゲットとすべく改装した仙台がその例だ。仙台らしいアートを配置するなど内装を一新したほか、駅周辺にファミリーが使いやすいホテルが少ないことを受け、客室だった本館2階全体をキッズスペースに改装した。これにより、客層が一気に拡大し足元は非常に好調だ。ファミリー層をターゲットとするため休日に需要が偏る懸念もあったが、平日もしっかり利用いただけているのは発見だった。客室を減らすのは勇気がいる決断だったが、特徴を出していかないと、今後差別化はより難しくなる。
―― リッチモンドホテルという確立した業態がある中で、THE BASEMENTを開業しました。
本山 25年4月に大阪で1号店をオープンした。リッチモンドホテルは今後も出店を拡大する予定だが、ある程度の客室面積が必要になり、昨今の建築費高騰などの開発環境を鑑みると、新築では経済性を担保することが難しくなってくる。一方で、客室がコンパクトなホテルが売買市場に出てきていることから、共用部に価値があるホテルを作れないかと考えて開発が始まった。
大阪の案件は(株)アクタスにブランディングを手がけてもらい、これまでにないポップなデザインとなった。館内にはフォトジェニックな個所を多く配置したほか、飲食ラインアップも映えを意識した。朝食会場と客室があった最上階をラウンジ化し、寝るとき以外はそこで過ごせるようなソーシャルな価値を創出。対して客室はコンパクトで機能的なつくりだ。リッチモンドホテルとは良い住み分けになっている。THE BASEMENTの利用者層はリッチモンドホテルと比べて若い方が多く、利用人数も2人以上が多い。
THE BASEMENTは客室がコンパクトで済むため、会社として出店幅が大きく広がった。オーナーとしても、既存オペレーターより利用人数や客単価、ひいては売り上げも上げられバリューアップの策となる。大阪の案件は双日(株)が建物を取得し、ロイヤルHDがオペレーターとして入っているが、今後は当社単独での出店の可能性もある。
―― マイナー・ホテルズと協力し外資系ラグジュアリーホテルに参入します。
本山 ラグジュアリーホテルの必要性はかねて認識していたが、自社で開発できる領域ではなく、適切なパートナーを探していた。マイナー・ホテルズは現在59カ国でホテルやリゾート、ブランド・レジデンスを展開している。マイナー・ホテルズの親会社であるマイナー・インターナショナルは当社にとってはシズラーのフランチャイザーでもあり、以前からつながりがあった。当社はラグジュアリーブランドを求めており、マイナー・ホテルズは最後のピースともいうべき日本でのパートナーを求めていた。ここが一致し、話が進んだ。
日本では、マイナー・ホテルズの10ブランドのうち「Anantara(アナンタラ)」「Avani(アヴァニ)」「Tivoli(チボリ)」の3ブランドを展開し、35年までに21棟を出店する計画。契約1号施設として30年、アナンタラを軽井沢に開業する計画で、全国各地で出店したい。アジアオリジンであることから、アジアからの送客に強いことを期待しお声かけをいただくケースも多い。マイナー・ホテルズのブランドカテゴリーでは、アナンタラとチボリはラグジュアリー、アヴァニはプレミアムカテゴリーに位置づけられている。都市型に強いブランドだが、都市型のアナンタラなどの出店も検討する。
―― 今後の展開は。
本山 ビジネスとラグジュアリーのオペレーションは、本質は同じだが押さえるポイントが違う。そこはVIP対応なども含めマイナー・ホテルズの得意分野であるため、知見を得ていく。
リッチモンドホテルは新幹線を含む鉄道の主要駅周辺を中心に展開しているが、これまで検討してこなかった第2、第3の都市へも展開を広げたいと考えている。今後想定されるインバウンド6000万人の世界に対応するためにも、国内レジャーのお客様に満足していただくためのホテルを作ることが使命だと思う。今後はラグジュアリーの知見も得ていくことで、既存の領域にも必ずプラスになると考える。
(聞き手・編集長 高橋直也/サリョールサラ記者)
商業施設新聞2026号(2026年2月3日)(7面)