西日本鉄道(株)(西鉄、福岡市中央区)が「ONE FUKUOKA BLDG.(以下、ワンビル)」を開業して約1年を迎えた。天神エリアの新たな核として誕生した複合ビルで、2025年12月には来館者数が1000万人を突破し、年間の売上高も予算を達成できる見通しだ。開業後は大人の来街者の回遊が生まれるなど、街に新たな賑わいを生み出している。天神開発本部ONE FUKUOKA BLDG.部 商業運営室担当室長の村田大輔氏に話を聞いた。
―― ワンビルの特徴について教えてください。
村田 福岡市内では珍しい大型の商業とオフィス、ホテルが複合したビルで、インバウンドや観光客からオフィス利用者まで様々な人が訪れる。商業は「CHANEL」をはじめとしたハイグレードなテナントに加え、福岡市天神エリアの再開発に伴い、オフィスワーカーが増えることを見越し、飲食や食物販を充実させている。約130店のうち、飲食や食物販の割合は50店前後なので、40%程度となる。
客層は当初メーンターゲットに想定していた30~50代の男女を中心に集客できている。加えて、20代も集客できているほか、かつてワンビルの地には「福岡ビル」や「天神コア」といった福岡で長く愛された施設があったことも影響してか、シニア層のお客様も多く、来館者数が増えている。
―― 好調なテナントは。
村田 ハイブランド系、コスメ系、飲食系、アウトドア系などが好調だ。ハイブランド系については、周辺の商業施設と比べ、広々とした区画面積を有し、より世界観を表現できていることがお客様にも好評だ。飲食系については、地下1階でもんじゃ焼きや寿司屋などが集積する「天神のれん街」が日本的な店舗を求めるインバウンドとの相性が良く、非常に好調に推移している。
コスメ系では、フレグランスを意識的に集約していて、個性的で多彩な商品を取り揃えている。ビジネスパーソンのギフトニーズなどにも対応し、好調だ。アウトドア系は30~50代のワーカーを取り込むために集積した。福岡市は自然豊かな場所が近くにあり、また元々カジュアルな土壌があるため、日常使いできるアウトドアブランドにも一定の需要がある。そうしたことから売上高の増加に貢献している。
―― ワンビルはアートも重要な要素ですが、どういった効果を生み出していますか。
村田 ワンビルはコンセプトの「創造交差点」に合わせて、アート作品を100点以上展示しているが、作品を観るために足を止めるお客様も多く、滞在性に寄与していると思う。また、福岡市が推進する「Fukuoka Art Next」が25年9月に開催したイベントでは、ワンビル1階のグランドロビースペースをメーン会場にしたが、場所柄的にも例年以上に多くの人の目に触れることができたというご評価を頂いており、相乗効果が出てきていると思う。
―― ワンビルが開業したことによる天神エリアの変化は。
村田 ワンビルが立地する渡辺通りの東側にお客様が回遊してくれるようになった。かつてワンビル周辺には「天神コア」や「天神ビブレ」、今もある「福岡パルコ」を含め、若者層の利用が多いエリアだった。5年間の工事期間中で東側の回遊性が落ちていたが、今回ワンビルを開業したことで、若者だけでなく、大人のお客様も増えている印象があり、渡辺通り東西への回遊性向上に貢献できたと思っている。
―― 来観者数や売上高の状況は。
村田 来館者数は25年4月の開業から半年で800万人を超え、12月には1000万人を突破し、好調に推移している。売上高も上期は予算を超えて推移し、年間売上高も予算を超える見込みになっている。
―― 今後の展開は。
村田 ワンビルらしさをアピールできるイベントの開催に注力したい。1周年を迎える4月にはアーティストとコラボしたアートイベントを企画しているし、9月には公募展形式のアートフェスティバル「SICF Fukuoka」を初開催する。アートやカルチャーイベントの開催を通じて、ワンビルの存在感を高めていくつもりだ。
(聞き手・北田啓貴記者)
商業施設新聞2633号(2026年2月10日)(3面)