電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
新聞・情報紙誌のご案内出版物のご案内広告掲載のご案内セミナー/イベントのご案内
第115回

(株)JOLED 代表取締役社長 東入来信博氏


2年以内に有機EL量産化を判断
試作にJDIの拠点活用も

2015/4/3

(株)JOLED 代表取締役社長 東入来信博氏
 (株)産業革新機構(INCJ)などが出資して設立された(株)JOLED(ジェイオーレッド、東京都千代田区神田錦町3-23、Tel.03-5280-1600)は、ソニー(株)、パナソニック(株)の有機EL研究開発機能を統合し、1月5日から事業を開始した。資本金は81億円で、このうちINCJが75%、(株)ジャパンディスプレイ(JDI)が15%、ソニーとパナソニックが5%ずつを出資(議決権ベース)。いよいよ日本に有機ELディスプレー専門メーカーが誕生した。代表取締役社長に就任した元日本オルボテック会長の東入来信博氏に今後のビジョンなどについて伺った。

―― 長年、有機ELの研究開発を続けてきたソニー、パナソニックの技術が集結しました。
 東入来 社員は現在約260人で、ソニーから約110人、パナソニックから約130人の経験豊富な有機ELの技術者が集結した。ソニー厚木テクノロジーセンター内に厚木技術開発センターを、パナソニック京都地区内に京都技術開発センターを設置し、試作ラインの構築に向け両社の技術融合や開発品の検証・確認作業を進めている。
 当社の有機ELパネルは、バックプレーンに酸化物半導体(TAOS)を、フロントプレーンに印刷でRGBを塗り分ける方式で製造する。このための発光材料の性能向上や、それを引き出す方法、印刷装置や技術、TAOS技術といった個々の要素技術開発は、すでにめどが立っている。あとは、ものづくりに向けた部分での検証が必要だ。

―― 量産化までのロードマップを。
 東入来 15年夏ごろには、試作ラインを整備するかどうかの投資判断をする予定だ。16年は、試作ラインで量産化の検証を進め、17年には量産ラインの投資判断を行う予定だ。試作ラインは、投資効率を考慮し、JDIのインフラを活用する案も含めて検討している。今後2年間で量産判断まで着手できるようなスピード感を意識している。

―― 製品化のロードマップについては。
 東入来 当面は液晶ディスプレーとの競合は考えず、まずは有機ELの特徴を活かせるアプリケーションをターゲットにする。10~30インチの領域でタブレットやノートPC、プロユースのディスプレーや医療向けモニターなどが視野にある。
 いずれはボリュームゾーンで製品展開することも視野に入れている。多くの人に期待されているテレビは現段階では計画していないが、将来はやってみたいと考えている。しかし現状では、特定用途からボリュームゾーンへの移行期を、どういった商品・生産で展開していくか模索中だ。もちろん、どのビジネスモデルでも収益を上げることを第一に考えていく。

―― TAOSや製造方式など、これまでに量産化されたことがない方法で挑戦されます。
 東入来 確かに、TAOSをバックプレーンに印刷で塗り分け、トップエミッション構造で有機ELパネルを量産することは、ディスプレー業界で初の試みとなる。しかし、印刷方式は長年パナソニックが研究開発を進めてきた技術であり、すでにテレビサイズで80ppiのパネルを開発済みだ。実際パナソニックは13年に米ラスベガスで開催されたCESで55インチの4Kテレビパネルを出品しており、デモ機を試作するにはまったく問題が無い。TAOSに関してはパナソニックやソニーが長年研究を続けてきた分野だ。これからは「ものづくり」においてどうするか、という検証フェーズに入っていく。
 当社の方式では300ppi超まで可能だが、カタログ数値競争に身を投じるつもりはない。例えば、解像度を上げると開口率が下がるが、それよりも開口率を上げて低消費電力にするなどの顧客ニーズに技術を振り向けていきたい。
 当社を立ち上げてから2カ月が経つが、各技術は想定以上に仕上がっていると認識している。近々、JOLED初の試作品を完成させる計画だ。

―― 抱負について。
 東入来 有機ELはソニー、パナソニックが長年にわたって研究開発してきた分野であり、その歴史とノウハウを持った技術者がこれだけ集結している企業は世界に類を見ない。質の高い人材に恵まれたと自負している。両社で保有する有機EL関連の有力なパテントが多いことも強みだ。
 私自身は「成功の神様は1つ」をモットーにしている。例えば、ベストは何かを話し合う場において、役職の上下のないフラットな、「成功の神様以外は皆平等」な間柄で意見し合える環境作りを心がけている。最終的な責任は私にあるが、社員個々人の能力が高いため、自由に仕事を進めさせることがベストだと考えている。

(聞き手・本紙編集部)
(本紙2015年4月2日号10面 掲載)

サイト内検索