電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第670回

ラピダスは工場稼働の最終段階、研究開発拠点も整備する!


光配線の半導体も実用化し、半導体パッケージにも注力

2026/5/1

 国家半導体戦略カンパニーともいうべきラピダス(Rapidus)の北海道千歳工場は稼働の最終段階に入ってきた。先ごろ北海道庁などと会議を開き、情報を共有したのである。この会議には、ラピダスの清水専務がオンラインで参加し、次のようにコメントしたのだ。

 「2025年12月にはEUV露光装置の2台目を無事に搬入することができた。現在は、ほぼ立ち上げの最終段階にきている」

 北海道庁としては北海道大学などと最新技術の研究や人材育成が可能な複合拠点を作り、ラピダスを支える計画を明らかにした。

 一方、ラピダスは半導体製品の特性分析や信頼性を評価する解析センターも開設にこぎつけた。同センターは、2nmの半導体を製造する拠点に隣接してつくられ、正面は総ガラス張りでアーチ形の巨大な屋根があり、製造拠点とは空中廊下でつながっている。これまで、北海道大学に依頼していた半導体解析はその設備を解析センターに順次移して統合するのである。

 また、ラピダス工場の近くにはセイコーエプソン千歳事業所があり、ラピダスは研究開発拠点「Rapidus Chiplet Solutions(RCS)」を同事業所内に設置することになっていたが、これまた解析センターの開所式に合わせて本格稼働がアナウンスされた。

ラピダスでエンジニアリングセンター長を務める折井靖光専務執行役員
ラピダスでエンジニアリングセンター長を務める折井靖光専務執行役員
 ラピダスの専務執行役員であり、エンジニアリングセンター長である折井靖光氏はチップレットの重要性について、こうコメントしている。

 「ワンチップに集積した大規模回路を複数の小さなチップに個片化し、インターポーザーと呼ぶチップレット間をつなぐ基板上に載せて1パッケージに収める技術が大切になる。もちろん、ラピダスは有機基板上にRDLインターポーザー、そしてその上に2nmロジックとメモリーを搭載する最先端チップレットに挑戦している」(2025年9月25日付電子デバイス産業新聞より)

 こうした状況の中で、最先端半導体技術センター(LSTC)は光配線を使った半導体の製造技術確立に全力を挙げている。2030年代前半の実用化を目指し、将来的にはラピダスによる技術活用も想定する。個別のチップをつなぐ配線は、従来は電気配線が使われていたが、新技術では光配線も活用する。NTTも技術開発のアドバイザーとして関わることになり、先ごろNEDOの委託事業にも採択されたのだ。

 日本初の大型シリコンファンドリーとなるラピダスの経済効果はかなりの成果を見せ始めている。すでに北海道千歳エリアに進出を希望する事業所は90社ほどにもなっており、JR南千歳駅近くに今後造成する工業団地の入居受付も開始されることになる。北海道の鈴木知事が提唱する「北海道シリコンバレー」の構想は着々と進んでいるわけである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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