中国経済がバブル崩壊という状況になりつつあるのは間違いのないところであろう。不動産価格は激落しており、中国に工場を作る企業が少なくなっていることから雇用なども元気がない。そして、水面下においては多くの企業が倒産に陥っているのだ。
EV(電気自動車)を加速すると言っていた中国政府であるが、ここにきては補助金打ち切りが相次いでいる。こうしたことで、中国の各地でまったく売れないままになっている多くのEVが野ざらしになって風に吹かれているのである。それだけではない。中国の自動車関連企業は何と400社も倒産しているのである。中国における自動車の関係者は「いったいどうしてくれるんだ!」と心の中で思っているに違いない。
それはともかく、米国における中国いじめはひたすらに加速するばかりだ。超党派で構成される米国の議員グループは、半導体製造装置の対中輸出規制を強化する法案を公表した。法案は半導体回路の形成に不可欠な露光技術にかなりの焦点を当てている。
この分野はASMLがトップを走り、国内勢ではキヤノン、ニコンがこれを追うかたちとなっている。今回の法案は、こうした装置をSMIC、CXMT、華虹半導体、さらにはファーウェイといった中国半導体メーカーに販売したり、保守サービスを提供したりすることを固く禁じている。
ASMLによれば、中国は最大の市場であり、2025年の売上高全体に中国が占める比率は33%であったが、26年は20%に低下するとの見通しを示している。いずれにしても、中国の半導体生産にブレーキをかけたい米国は様々な手を使って中国外しを進めていくことだろう。
ASMLに限らず、世界の著名な半導体製造装置メーカーはみな、中国向けが減速することを憂いている。確かに、24年段階で半導体装置導入量は中国が世界の半分を占めているわけであり、中国の設備投資減速は痛いことになるだろう。
一方、こうした状況を踏まえ、中国政府は半導体製造装置の国産化を加速している。すなわち、NAURA、AMEC、ACMリサーチ、パイオテックなどの国産装置メーカーを中国政府は徹底的に支援し、他国に頼らない自前主義を貫こうとしているのである。
■
泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。