2025年における世界の半導体企業上位10社のランキングを見ていて、当たり前のことであるがAIがすべてのキーワードになっていると確信した。ガートナーの調べによれば、世界ランクの上位は第1位がエヌビディアであり、売上高は前年に比べ69%増というサプライズの成長を遂げ、1257億ドルとなっている。同社の世界シェアは実に15.8%を占有するのである。
そしてまた、ランキング第2位はサムスン電子であり、売上高は前年比10.4%増の725億ドルとなっている。3位はSKハイニックスであり、売上高は606億ドルであるが、伸び率はサムスンの3倍以上であり、前年比37.2%増となっている。これは、HBMという高性能DRAMで先行したことが大きい。この韓国のメモリー2社はAIチップ周辺に搭載されるメモリー半導体、とりわけDRAMの出荷数が膨大に伸びたのである。
マイクロンもまた、AIの恩恵を受けたメモリーメーカーであり、前年比50.2%増というサプライズ成長でランキング5位に位置し、売上高を478億ドルに押し上げた。ちなみに、25年10~12月期の世界半導体売上高ランキングでは、やはりエヌビディアが前四半期比22%増で突っ走っており、これにサムスンの19%増、SKハイニックスの10%増が続いている。マイクロンも好調であり、16%増となっているのだ。
そしてまた、日本のメモリーメーカーであるキオクシアにもこの恵みの雨は限りなく降り注いでいるのだ。26年5月7日時点で同社の株はストップ高となる前日比7000円(19%)高で取引を終えた。キオクシアの前身の名前は東芝メモリーであり、分社化された同社の株式時価総額は何と日立製作所を上回ったのである。キオクシアの株価は昨年末比で4倍以上となったわけであり、時価総額は23兆7000億円となり、ソニーやアドバンテストすら抜き去ってしまった。
こうした状況下にあって、国産AIを目指そうという動きが具体化した。すなわち、ソフトバンク、NEC、ホンダ、ソニーグループが大規模な国産AI開発の新会社を設立したのである。その会社の名前は(株)日本AI基盤モデル開発という。ソフトバンクとNECがAIの基盤開発、ホンダとソニーは自動車や半導体、ゲームなどに活用していく方針を固めている。
この新会社は、出資企業以外にもサービスを提供し、最終的には日本が最も得意とするロボットを動かせる次世代AIの開発を目指すというのであるからして、大きな期待をかけたいところである。
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泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。