電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第672回

台湾TSMCの26年売上高は大台の20兆円強と見込んでいるのだ!


設備投資は売上の32%に相当する6.4兆円を投入、研究開発も過去最高のレベル

2026/5/15

 世界最大のシリコンファンドリーであるTSMCは、半導体生産という観点で言えばワールドワイドNo.1の半導体企業なのである。2026年に入っても売上高は絶好調で推移しており、前年比35%増の5兆5480億円を達成している。驚くべきは営業利益であり、前年比62%増の3兆2223億円に達し、営業利益率58%というサプライズの数字となっているのだ。ちなみに、一番売り上げが大きいのが5nmプロセスであり、全体の36%、次いで3nmは同25%。

 今年に入ってからのエポックメーキングな出来事は、米国アリゾナ州に半導体の後工程を行う実装工場を計画していることだ。AIチップを接合する新たなパッケージング技術を確立し、28年までに10個の大型チップと20のメモリースタックを接合しようとしている。また、TSMCとアムコーは先端実装技術の一部をアリゾナ州の施設に導入しており、両社は今後も技術提携を強化していく方針なのである。

 そしてまた、ASMLの最新鋭の露光装置High-NA EUVの導入を当面見送る方針を固めた。何しろ、この装置は1台650億円以上という超高価なものであり、これを何台も入れればコストパフォーマンスは非常に悪くなる。そこで、様々な工夫をしてASMLの装置なしでより小型で高速なチップの製造を可能にする方法論を確立しているようだ。AIチップに採用される可能性が高い。

 さて、TSMCの26年通期の売上高予想は、ついに大台乗せの20兆681億円(前年比8%増)が予想されている。そしてまた、営業利益は10兆6992億円(同13%増)が推測されており、実に売上高の半分が利益という、とんでもないカンパニーになろうとしている。最先端のプロセスを確立し、他社の追随を許さない半導体プロセス技術と積極的な設備投資がものを言っているとしか言いようがない。また、ファンドリービジネスは営業経費をかける必要がないために、粗利が高いという特徴もあるからだろう。

設備投資は26年に最大560億ドルを計画
設備投資は26年に最大560億ドルを計画
 26年通期の設備投資は520億~560億ドルを計画。中央値では前年比で32%増の水準であり、当然ながら過去最高の投資金額でこれまた超アクティブな作戦とみて良いだろう。

 TSMCは、いまや世界の半導体製造装置メーカーにとっては最重要企業となっており、この会社の売上高予想や設備投資計画がへたらない限り装置業界は大丈夫、と見る向きが多いのである。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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