電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第675回

岩手県の工業出荷額は3兆1247億円・半導体が20%占有!


キオクシア、デンソー、東京エレクトロンなど200社近くが集積

2026/6/5

 我が国の半導体の学における発展に貢献した人は誰であろう。様々な大学教授の名前は挙がるものの、やはり筆頭格は東北大学の西澤潤一氏である。西澤氏はPINダイオードなどの特許で世界にその名を知られる人だ。そしてまた、半導体研究振興会・半導体研究所を仙台に設立し、世界初の半導体レーザーの開発なども成し遂げたのだ。ノーベル賞候補にも数回上っている。

 西澤氏の保有する半導体関連の特許保有件数は世界最多であるからして、驚き以外の何物でもない。後に東北大学の総長になり、そして岩手県立大学学長、首都大学東京学長まで勤め上げたのである。

キオクシア岩手の第2製造棟(K2)
キオクシア岩手の第2製造棟(K2)
 西澤氏は岩手県立大学の学長時代に、岩手県下の半導体産業の振興にも大きく貢献された。そして現在にあって、岩手県内にはキオクシア、デンソー岩手、ジャパンセミコンダクター、東京エレクトロンなどの大手をはじめとして、200社近くの半導体関連企業が集積している。

 さて、岩手県の工業出荷額は3兆1247億円であり、東北6県の中ではずば抜けて高い方である。そして、このうち20%は半導体産業であり、トヨタ自動車東日本など自動車産業も多く集積している。

 ところで、北海道、岩手県、広島県、熊本県は国から半導体プロジェクト推進地域の認定を受けている。この認定は全国で4カ所だけであり、東北エリアでは唯一岩手県が認定されている。いかに同県に多くの期待がかけられているのかがわかるだろう。

 同県は「北上川バレープロジェクト」を推進しており、半導体産業の集積をさらに進めようとしている。一方で、半導体関連人材育成施設として「I-SPARK」を設立し、産官学連携による人材育成を推進している。これまでに受講した人たちは企業で300人、大学・高校で600人、子どもたちで900人に達しており、これは実にサプライズなことなのだ。
 
 東急不動産が推進する東北GX産業団地は、この北上川バレーの金ヶ崎町に企業誘致を進めようというものだ。用地は44haと広大であり、とりわけ世界的なブームとなっている半導体産業を誘致したいという方針なのである。そしてまた、このエリアは太陽光/風力/地熱/バイオマスなどの再生可能エネルギーの受給率60%を掲げており、カーボンニュートラルに対応しているのだ。

 かの西澤潤一氏が岩手県下で推進した半導体産業の振興は、今日にあってこのように進展してきたのだ。残念ながら、西澤氏は2018年10月に逝去されており、この岩手県下における半導体産業の集積を見ることはできなかった。天の向こうから西澤氏はこの栄光の北上川バレーの進展を見守っているに違いないだろう。


泉谷 渉(いずみや わたる)略歴
神奈川県横浜市出身。中央大学法学部政治学科卒業。35年以上にわたって第一線を走ってきた国内最古参の半導体記者であり、現在は産業タイムズ社 取締役 会長。著書には『自動車世界戦争』、『日・米・中IoT最終戦争』(以上、東洋経済新報社)、『伝説 ソニーの半導体』、『日本半導体産業 激動の21年史 2000年~2021年』、『君はニッポン100年企業の底力を見たか!!』(産業タイムズ社)など27冊がある。一般社団法人日本電子デバイス産業協会 理事 副会長。全国各地を講演と取材で飛びまわる毎日が続く。
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