電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第659回

斗山グループ、半導体領域拡張へ


素材からヒューマノイドまで

2026/6/26

 韓国の斗山グループが既存のエネルギーなどの事業から半導体事業の拡大に力を入れている。主要素材から後工程まで続く半導体バリューチェーンの拡大を加速し、AI半導体の好況を背景に、半導体部門を今後のグループの主要事業として展開する戦略を示している。最近ではエヌビディアとの協力関係を一層強化しており、半導体部門とロボットに加え、今後はフィジカルAIへ事業領域を拡大させようとしている。

 斗山グループの自社事業の26年1~3月期業績は、売上高が前年同期比45%増の7023億ウォン、営業利益が同55%増の1878億ウォンだった。売上高のうち、銅張積層板(CCL)などを扱う斗山電子BGが売上高の約9割(6173億ウォン)を占めており、好業績を牽引した。

 斗山電子BGは、24年末からエヌビディアのAIアクセラレーターにCCLの供給を開始。エヌビディアのBlackwellシリーズでCCLの単独サプライヤーに選定されたことで本格化した。AIデータセンターへの投資が世界的に拡大する中で、高性能CCLへの需要も急速に増加しており、それに伴い電子BG部門も高成長を示している。また、エヌビディアの次世代プラットフォーム「Vera Rubin」にもCCLを単独供給する可能性が高く、加えて、ASICをはじめとする新規顧客の開拓も順調に進んでいる。

斗山電子BGのCCL
斗山電子BGのCCL
 このようなCCLの需要増加に対応するために、すでに韓国国内工場(曽坪・金泉)はフル稼働となっており、最近にはタイのサムットプラカーン県のアラヤ工業団地に新会社を設立し、CCL(銅張積層板)生産工場を構築すると明らかにした。投資額は1800億ウォン規模で、敷地面積は約7.3万m²。26年内に着工し、28年後半の量産開始を目指しており、今後の需要動向に合わせて段階的に増設を進め、投資効率の向上も図る方針だ。

 22年に買収した半導体後工程テスト企業「斗山テスナ」もエヌビディアとの接点を増やしている。斗山テスナは最近、エヌビディアの言語処理装置(LPU)「Groq 3」のウエハーテストを受注したと報じられている。また、韓国装置メーカーのセメスなどから約1905億ウォンの半導体テスト装置の取得を決定しており、26年末まで順次導入し、半導体テスト領域を継続的に拡大していく。

 これに加え、市場状況に応じて着工時期を調整してきた平澤第2工場の新規施設投資を本格的に再開する。投資額は約2303億ウォンで、27年11月の完成を目標に進められている。

 現在最も注目されているのはSKシルトロンの買収案件だ。ウエハー生産を担当するSKシルトロンの買収が遅れている部分は、斗山に負担となっている。当初は5月までに完了する見込みだった取引が、SK側の一時停止により止まったためだ。ウエハー生産量を2倍に増やす計画を発表しながらも、現時点で低価格で売却することは損だとSK側が考えているためと伝えられている。

 SKシルトロンが斗山に買収されると、半導体材料サプライチェーンにおける斗山のプレゼンスが一層高まることになる。ただ、現時点では、SKシルトロンの身売り計画が長期化しており、一部では全面的に再検討される可能性も指摘されているが、交渉は今のところ継続している状況だ。

 今年4月末には、斗山グループの斗山ロボティクスとエヌビディアが両社間での技術協力について議論した。具体的には、斗山ロボティクスが開発している知能ロボットソリューションと産業用ヒューマノイドに、エヌビディアのAI・ロボティクス技術を組み込むための協議を行った。斗山ロボティクスが開発しているロボット専用実行ソフトウエア「エージェンティックロボットオペレーティングシステム(Agentic Robot O/S)とエヌビディアのAI・ロボティクスシミュレーション・学習インフラを連携させる。

 これにより、実際の産業現場に適用可能なロボット実行プラットフォームの構築が実現する。Agentic Robot O/Sは、AIが作業環境を把握してルートを最適化し、安全かつ精密な作業を支援するソフトウエア。斗山ロボティクスはこれの高度化に向けてロボットとAI間のインターフェース構築、ロボット制御標準プロトコルの開発、専門作業モデルとの連携、安全制御のための技術的ガードレールの適用などを検討しており、エヌビディアとの協力で具体化していく方針だ。

 斗山ロボティクスはエヌビディアとの協力により、27年にはAgentic Robot O/Sをベースとしたインテリジェントロボットソリューションを、28年には産業用ヒューマノイド製品を順次発表する計画。特に27年にはエヌビディアとCESなどの主要展示会で両社の協業成果を発表することも予定されている。


電子デバイス産業新聞 編集部 記者 嚴 智鎬

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