日本政策投資銀行は、2026年度設備投資計画調査をまとめた。これによると大企業(資本金10億円以上)の26年度の設備投資は前年比19.7%増となり、中東情勢など不確実性が高まる中でも、前年度計画の伸び(14.3%増)を上回る旺盛な投資意欲が示されている。
25年度の設備投資は、鉄鋼、石油など素材業種の脱炭素対応投資や電力の送配電網投資のほか、運輸の駅前再開発などにより、7.3%増と4年連続で増加した。製造業は前年比11.5%増の高い伸びとなったほか、非製造業も前年の12.6%増の高い伸びからは鈍化したものの、5.4%増と4年連続で増加した。
26年度製造業は、前年度計画よりも伸びが鈍化するものの、AI・データセンター関連投資の拡大により、前年比13.2%増の計画。非製造業は、電力の送配電網投資継続や原子力関連投資本格化に加え、駅前再開発、鉄道の新線建設を中心とした都市機能強化のほか、インバウンド対応などにより、前年比22.9%増の計画。
25年度の国内設備投資が当初計画を下回った要因として、「投資内容の精査、無駄の見直し」の割合が低下する一方で、「当初計画を下回らず」の割合が上昇。前年と比べ投資計画が精緻に作られ、実行された可能性がある。当初計画を下回った要因のうち、「計画の押し下げなし」が過半を占めた。「国内・海外景気の減速」や「国際的な政策の不確実性」の割合も高くなく、中東情勢など不確実性が高まる中でも、投資計画の下押しは限定的となった。
26年度製造業では、AI・データセンター関連の半導体・部材向け投資が主に非鉄金属、化学、電気機械で見込まれている。そのほか、素材業種を中心に脱炭素対応投資も計画されている。非製造業では、電力で再エネやAI・データセンター向けの送配電網投資が継続するほか、原発関連投資が本格化する。また、運輸業を中心に、インバウンド需要増に伴う空港機能拡大に加えて、鉄道の新線建設、車両新造のほか、駅前・都心再開発も継続する。
政府の戦略17分野に向けての設備投資は、AI・半導体、デジタル・サイバーセキュリティ、情報通信は追加投資を予定する企業の数が多く、3年以内での投資を見込む割合も高い。資源・エネルギー安保・GX、防災・国土強靭化については、3年以内に投資を検討する企業の割合は低いものの、追加投資を予定する企業数は多く、中長期で投資を下支えする可能性がある。造船、航空・宇宙、創薬・先端医療などでは、投資を予定する企業の数が限定的ではあるものの、当該分野に関わる特定業種において直近での投資を予定する姿勢がみられる。
戦略17分野のうち強化したい分野を選んだ企業の割合を業種別にみると、製造業では非鉄金属、一般機械、電気機械が高く、AI・半導体やデジタル関連を強化する意向がうかがえる。また、創薬・先端医療を強化する化学も高い。非製造業では、AI・半導体、デジタル関連で通信・情報の割合が突出しているほか、防災・国土強靭化を強化する建設も高い。
25年度の海外設備投は横ばいにとどまり、伸びが3年連続で鈍化した。地域別では、欧州で不動産、中国除くアジアで自動車などにより増加したが、中国では製造業を中心に減少が続いたほか、北米では化学などにより減少した。
26年度の海外設備投資計画は、前年比1.9%減とコロナ禍の20年度以来の減少となる。中国除くアジアでは自動車などにより増加するものの、中国で減少が続くほか、大型案件が一巡した化学、不動産が幅広い地域で減少する。一方、旺盛なAI・データセンター、半導体関連需要を背景に北米やアジアにおいて非鉄金属や電気機械の増加もみられる。26年度は、国内設備投資が大幅増の計画である一方で、海外設備投資は減少する計画であり、海外設備投資比率の低下が続く見込み。研究開発活動についても、中長期で国内拠点を強化する企業の割合が26年度に上昇した一方で、海外拠点については、その割合が低下している。