商業施設新聞
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No.564

アメニティも進化する


玄行 力

2016/7/12

 もう10年前の話だが、派遣のアルバイトで物流センター内での製品の梱包や検品、食品スーパーやドラッグストアなどに配送する商品をカートに積み込む作業を行っていたことがある。5~6時間ほど働く中で10分程度の休憩が何回かあったが、休憩所は飲み物やパンなどの自販機が複数台設置してあり、テーブルが並べられているだけの、すなわちただ休憩するための場所であり、「休んだ気にならない」と思っていたことを今になって思い出す。

 何故、10年も前のことを思い出したのかというと、近年は最新鋭の物流センターの内覧会に仕事で参加する機会があり、そのいずれの物流センターも休憩室のアメニティが充実していたからだ。

 アルバイトであれ、パートタイマーであれ、正社員であれ、物流センターでの肉体労働はかなり高い強度の疲労を伴うはず。貴重な休憩時間の大半を過ごすことになる休憩室が、ただテーブルが並べられているだけの詰め所みたいな環境では休んだ気にならないと思う人間は10年前の私だけではないはずだ。例えば、休憩室がお洒落なカフェテリア風、社員食堂が設置されているなど、アメニティが充実していれば従業員もしっかり休憩時間に休憩することができ、作業効率の向上にもつながると思う。

GLP厚木IIの休憩室は喫煙室や売店を設置するなどアメニティが充実していた
GLP厚木IIの休憩室は喫煙室や売店を
設置するなどアメニティが充実していた
 6月20日の竣工式で内覧したグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(株)(GLP)のマルチテナント型大型物流施設「GLP厚木II」(神奈川県愛甲郡愛川町)は、物流センターとして必要な機能すべてが最新鋭の施設だったが、特にアメニティが充実していた。内装はお洒落なカフェテリアのようで、座席もテーブル席からカウンター席まであらゆるシチュエーションに対応している。また、自販機はもちろん弁当や飲み物などを販売する売店、売店で買った弁当などを温める電子レンジも複数台設置されており、周辺には飲食店などがほとんど営業していないのだが、休憩室内で食料を調達することができる。喫煙室も休憩室内に設置してあり、わざわざ休憩室から出てタバコを吸いに行く必要もない。

GLP厚木II休憩室内の売店
GLP厚木II休憩室内の売店
 竣工式の記者会見で、GLP代表取締役社長の帖佐義之氏は「アメニティを充実し、快適性を高めたことによって、従業員の確保や従業員の稼働率向上が期待できる」と述べていたが、今のご時勢、アメニティが如何に労働していく上で大事かということが、同物流センターの充実ぶりを見てわかるような気がした。また、同氏は時代のニーズを鑑み、アメニティに関してはさらに進化させていく可能性も示唆しており、今後開発される物流センターのアメニティがGLP厚木IIと比較してもれだけ進化していくか、内覧するのが楽しみになってきた。
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