商業施設新聞
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No.631

世界遺産から50年後の自分へ


永松 茂和

2017/11/14

 とりわけ信心深くも縁起を担ぐわけでもないが、最近はなぜか神社仏閣へお参りする機会が多い。どうせ行くなら記念行事にかこつけて行けば、霊験あらたかなことが増すのでないかと、場合によってはその時期を見計らって行くこともある。数年前には“牛に引かれて善光寺参り”で有名な長野市の善光寺に、7年に一度の御開帳に合わせてお参りするとともに、寺の床下の45mもある真っ暗闇の中を歩く「お戒壇めぐり」を行い、普段では味わえない体験をした。

 先日は、秋が深まりつつある日光に行ってきた。平日にもかかわらず国内外の観光客で賑わいを見せている。中でも、半世紀ぶりの大規模改修を終えた日光東照宮の「見ざる・言わざる・聞かざる」で有名な「三猿」の前には人だかりができており、日光を訪れるメーン施設であることを実感した。巷で話題にもなっているが、三猿の目が真ん丸になり、顔全体も現代的になったように感じる。同様に「眠り猫」も若干変わったように見え、まるでスペインのキリストを描いたフレスコ画の修復画像を思い出させるものだった。

日光山輪王寺・三仏堂の平成大修理。天空回廊から屋根の修復風景が見える
日光山輪王寺・三仏堂の平成大修理。天空回廊から屋根の修復風景が見える
 さて、今回、日光を訪れた目的は、秋の紅葉、日光東照宮、奥日光ではなく、世界遺産である日光山輪王寺の「平成大修理」だ。輪王寺は、あまりなじみはないかもしれないが、関東の一大霊山の一つで、東照宮、二荒山神社と並ぶ参詣所とされ、本堂の三仏堂は日光山随一、東日本では最も大きな木造の建物だという。その三仏堂が約50年ぶりに大改装を行い、建物全体を覆う「素屋根」が完成したことで、天空回廊といわれる施設により地上26mの本堂上空を360度から、めったに見ることのできない外側の風景や修復風景を見ることができるのだ。

 三仏堂の本堂は間口33m、奥行き21m、高さ25mの大きさがあることから、それを覆う素屋根のスケールの大きさがわかると思う。施設内では三仏堂の案内や工事の内容、風景を見ることができるだけでなく、瓦として使用する銅板に自分の名前や願い事を書き、それを屋根の一部として銅板奉納することができる。屋根全体で約5万枚の銅板が使用されるそうで、めったにできることではない霊験あらたかな機会である。

 本堂の次の瓦の葺き替えは、最短でも50年後だというから、少なくとも50年以上は世界遺産である輪王寺本堂の屋根瓦に自分の痕跡が残るわけである。まるで小学校の時に行ったタイムカプセルのような、不思議なわくわく感がわいてくる。銅板に書いた内容は明かせないが、可能であれば次の葺き替えの時にも再度訪れたいものである。
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