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第250回

住友化学(株) 有機EL事業化室 部長 山田武氏/主任部員 奥尚規氏


19年にフレキシブル有機EL照明上市
R2R生産プロセスの確立に注力

2017/12/1

住友化学(株) 有機EL事業化室 部長 山田武氏/主任部員 奥尚規氏
山田武氏(左)と、奥尚規氏
 ライティングフェアなどの照明の展示会に行くと、住友化学(株)の有機EL照明のブースは華やかだ。他社が白色系のラインアップのみであるのに比べ、同社のブースでは赤、青、緑やピンク、オレンジ、紫といった色とりどりの照明パネルが並ぶ。高分子の発光材料と素子を内製することができる同社ならではの光のラインアップだろう。今後の製品展開や事業化について、有機EL事業化室 部長の山田武氏と主任部員の奥尚規氏に伺った。

―― 2008年ごろから有機EL照明の製品化に着手され、14年に量産と販売を開始しました。製品ラインアップについて。
 奥 ガラス基板のリジットタイプを製品化した。大きさは163mm角、109mm角、40mm角のほか、40×211mm、109×163mmの長方形、丸形(径100mm)をラインアップしている。色味は過去に120色ほど試作しており、ユーザーニーズに合わせて様々な色を出すことができる。インク状の発光材料を素子に形成するため、混ぜ合わせれば任意の色にすることが可能で、それを基板に塗布している。当社は発光材料から照明モジュール化までを手がけ、照明器具メーカーに納めるB2Bビジネスを展開している。

―― 生産体制について。
 山田 14年から大江工場(愛媛県)に試作機を導入し、製造と外部販売を開始した。発光材料は大阪工場(大阪府)で製造している。当社は有機ELの発光材料として、赤・青・緑の3色ともに高分子材料を扱っていることが特徴だ。もともと有機ELディスプレー向けに材料を手がけてきたという知見がベースになっている。

―― 製品ロードマップについて。
 山田 19年からフレキシブル有機EL照明を量産化し、販売を開始したいと考えている。フィルム基板を用いたロール・ツー・ロール(R2R)生産で、このための白色発光材料はすでにめどが立った。設計値は3000K、60~80ルーメン/Wで、寿命は2万時間の製品を上市する。このフレキシブルタイプの照明では白色を展開する。白色以外の照明はリジットタイプで展開していく。
 あと1年余りの期間で、単にR2Rで作るだけでなく、コストを抑える生産方法を確立しなければならない。現在はR2R生産プロセスを構築している最中だ。また、有機EL照明は現状まだ高価格だとのユーザーの声が多い。R2Rで製造することで、将来的には100mm角で1000円程度を期待されている。

―― 3000K以外の白色のラインアップは。
 山田 4000Kや5000Kの白色は、青色材料に寿命の課題があるため、製品の耐久性を考えると、今後1年でのキャッチアップは難しいだろう。しかし、21年には4000Kをラインアップできるように材料の開発を続けていく。

―― R2Rの生産工程について。
 山田 大江工場内にR2R生産プロセスの試作機を導入中だ。PETやPENフィルムなどをベースにしたバリアフィルムの上に陽極をパターニングして、白色発光材料を印刷し、陰極を形成した後に封止するという工程だ。
 発光材料の塗布印刷方法については、当社の材料と最も相性が良く、かつ生産性の高い方法を種々検討した結果、1つの方法に絞り込んでいる。

―― ターゲット市場を。
 奥 ホテルや店舗などの商業施設だ。オフィスなどでは昼白色の色味が求められるため3000Kでは足りないが、商業施設などでは色のフレキシビリティーがある。また、照明の形状を活かしてカーブに沿わせるなど、建材としての用途展開も視野にある。協業している器具メーカーやデザイナーと共にフレキシブルモジュールを試作し、空間にマッチする照明器具を提案していきたい。

(聞き手・澤登美英子記者)
(本紙2017年11月30日号6面 掲載)

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