商業施設新聞
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No.641

新潟で新之助と現美新幹線を体験


笹倉 聖一

2018/1/30

 新潟県の新ブランド米「新之助」のキャンペーンの一環で、ジェイアール東日本企画の新潟支店による「新之助」×(世界最速の現代美術館)「現美新幹線」プレミアムツアーに参加した。芸術鑑賞と、豪農屋敷で新之助の会席コースを味わえる美味しい旅だった。

 現美新幹線は、上越新幹線の越後湯沢から新潟まで(自由席特急券で乗車可、一部は指定席)運行している。当日は特別ツアーのため埼玉県の大宮駅まで乗り入れた。注目の芸術家が同新幹線のために制作した現代アートが各車両内に展示され、新幹線で移動しながら、芸術鑑賞できるという演出である。沿線に広がる車窓とともに、絵画の魅力を発見できる。車体の外装は黒を基調に芸術的な独特の色彩で、その特別列車は大宮駅に早朝、滑り込んできた。駅員から「駅での安全管理上、大宮駅ホームでの撮影はダメ」と言われ、朝一番の別の新潟発新幹線で大宮駅へやって来て待ち構えた新潟のテレビ局取材陣はがっくりと肩を落としていた。

現美新幹線の車内
現美新幹線の車内
 乗車後には、車内で新之助の小むすび(小さなおにぎり)がふるまわれ、新潟のテレビ局クルーも元気に復活し、ツアー客が新之助を食べる姿の取材に余念がなかった。新之助は、ツヤツヤした大粒、深いコクと甘み、しっかりとした弾力と粘りがあり、おにぎりは薄い塩味が効いていて味わい深かった。客室の乗客には、農家出身の“ライスガールズ”たちがおにぎりを配って回り大人気だった。また、燕三条で人気の「ツバメコーヒー」も濃く深く、芸術鑑賞にふさわしい逸品である。

豪農「五十嵐邸ガーデン」入り口の趣ある提灯
豪農「五十嵐邸ガーデン」入り口の趣ある提灯
 90分程度の乗車で新潟駅へ着いた後は、阿賀野市の豪農「五十嵐邸ガーデン」へ場所を移し、そこでは新之助を使用した特別メニューによる昼食が待っていた。新之助の味わいもさることながら、地元の魚料理がすばらしい。佐渡沖のお造りとして寒鰤、鮪、南蛮海老、鯛が盛られ、焼き物にはのど黒西京焼き、ずわい蟹ステーキ、あがの姫牛の3種。このほかにも先付、前八寸、凌ぎ、御椀、煮物といった小皿が運ばれる特別会席コース。今回のツアー用の特別料理であるため、値段は設定していないと店側は説明したが、同店の通常の料理コースの料金表をながめると、1万~2万円、あるいはそれ以上であることは間違いない。豪農・五十嵐邸は、木造りの構えで、今にも忍者が現れそうで迫力満点。東京・銀座(築地市場駅近く)にも店があるため、東京でも新潟の逸品を味わってみたくなる。

 酒は地ビール「スワンレイクビール」と、新潟津川の麹だけの冷たい甘酒。新潟は、稲刈りが終わった田んぼのいたるところに白鳥が飛来し、地上に落ちた新之助をついばんでいるという。新潟では、白鳥は珍しい鳥ではなく、地ビールの名称に用いられるほど親しまれているのだ。

 新之助は、新潟県がコシヒカリと双璧を成すトップブランド米として8年の歳月をかけて開発した。米どころとしての歴史を誇る新潟が、満を持して送り出した自信作(米)である。新潟県農林水産部農業総務課政策室長の神部淳氏は「通常時に食べるコシヒカリとは別に、祝いやめでたい『ハレの日の米』として格別な時に食べてほしい」と話した。新之助は、一般販売のほかにも、弁当や菓子、酒、味噌に応用されて店頭に並び、コシヒカリとは異なる美味しさで、現代の多様化した要望に応える。外食産業への貢献も楽しみである。
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