商業施設新聞
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No.645

熱い視線が注がれるパチンコ店跡地


山田 高裕

2018/2/27

 激動する現代では、かつて好調だった企業や業界が突如大不振に陥ったり、逆にパッとしなかった企業や分野が思わぬ躍進を遂げたりするのはよくあることだが、前者においてその最たる例が、パチンコ・パチスロ業界(以下、パチンコ業界)だ。とりわけホール(店舗)は好立地にあることが多いため、閉店によって生まれた「ホール跡地」は、様々な業界から注目されている。

 かつて売上高30兆円産業と呼ばれ、(パチンコ・パチスロが今の形となった)ピーク時の1995年には、ホール数が2万店近くにまで伸長したパチンコ業界だが、これ以降は売上高、ホール数ともに減り続け、衰退が見てとれる。2018年現在は、売上高が20兆円を割り込む勢いで、ホール数はすでに1万店を切っている。

 ホール運営、パチンコ台メーカーなどの業績も悪化の一方だ。ホール運営最大手のマルハンは、18年3月期中間決算の営業利益が前年同期比で約4割減少した。最大手メーカーのセガサミーも営業利益が同3割近く落ち込んでいる。このほか、大手メーカーの京楽産業や、IP関連企業のフィールズなどは赤字決算に陥ることとなった。

 ここまで急速な衰退を起こした最大の原因は、よく指摘されるように法規制・行政指導の強化だ。この背景にはギャンブル依存症患者の増加など様々な社会問題があり、射幸性を上げることで利益を生み出してきたパチンコ業界にツケが回ってきたというところだろう。

 しかし一方で、レジャー産業の多様化や、新しいギャンブルの勃興といった構造的な面もある。レジャー市場全体に占めるパチンコ産業の割合は3割程度といまだ高い水準にあるものの、レジャーの多様化により、その割合は年々減少してきている。現在法整備が進められているカジノ・統合リゾートが正式に始動するようなことになれば、さらに減っていくことが予測されるだろう。

パチンコ店跡地でオープンした「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」
パチンコ店跡地でオープンした
「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」
 こうしたパチンコ業界の衰退は、他の業界にも影響を及ぼしている。特に大きいのが閉店した店の跡地利用だ。パチンコ店は好立地に位置することが多く、また施設面積や構造の面でも転用しやすいため、スケルトン出店先としてパチンコ店の閉店に注目している企業は多い。

 特に近年、好立地不足に悩んでいる小売業界ではその傾向が顕著で、例えばディスカウント(DS)業界でトップを突っ走るドン・キホーテは、主要な出店先としてパチンコ店の跡地を挙げている。実際、17年5月には同社の旗艦店となる大型店「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」をオープンした例がある。なお、パチンコ店跡地に入る小売業は多様で、郊外路面店舗なら家電量販店やホームセンター、都市部店舗なら食品スーパーやDSなどが多くみられる。

 パチンコ業界の衰退は、何か特殊な要因がない限り現状では止めようがないものだ。このかつての巨人が倒れるさまは、パチンコ業界関係者のみならず、業界外の人間にとっても注目に値するものだろう。
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