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第265回

セイコーエプソン(株) ロボティクスソリューションズ事業部 事業部長 吉田佳史氏


17年度のロボ関連事業1.5倍へ
双腕型製品の出荷を開始

2018/3/23

セイコーエプソン(株) ロボティクスソリューションズ事業部 事業部長 吉田佳史氏
 セイコーエプソン(株)(長野県諏訪市大和3-3-5、Tel.0266-52-3131)の産業用ロボット事業が好調に推移している。世界トップシェアを有するスカラロボットを中心に幅広い地域・用途で採用が拡大しており、双腕型ロボットなど新たな製品開発も積極的に推進している。ロボティクスソリューションズ事業部 事業部長の吉田佳史氏に直近の取り組みなどを伺った。

―― ロボット製品の需要動向から。
 吉田 当社では、スカラロボットや多関節ロボットといった産業用ロボットは、ICハンドラーとともにロボティクスソリューションズ事業部で事業を展開している。そのうちロボット製品は、2017年度(18年3月期)は中国を中心にアジア圏での伸びに加え、欧米地域でも堅調に推移している。国内でも高難易度なアプリケーションやこれまでロボットを活用したことがない企業への提案を強化しており、17年度のロボティクスソリューションズ事業部の売上高は前年度比約1.5倍の250億円を計画している。
 需要増に合わせて生産体制も強化し、長野県内の協力会社と中国・深セン市の拠点で増強を図り供給体制を整えている。

―― 製品群も拡充している。
 吉田 17年末に垂直多関節ロボットの新製品「N6」「VT6」、スカラロボットの新製品「T6」を発表し、18年度前半の市場投入を予定している。
 N6およびVT6は従来の多関節ロボット製品に比べ、自社製センサーの採用比率を上げるなど設計を一から見直し、コストパフォーマンスや省エネ性能が向上。さらにコントローラーの本体への内蔵で省スペース化も実現した。
 T6は17年3月に販売を開始した「T3」(可搬重量3kg)に続くコントローラー一体型のスカラロボットで、N6やVT6と同様にコストパフォーマンスを高め、可搬重量も6kg対応にした。本格出荷前であるが、すでに強い引き合いをいただいている。

―― 双腕型も発表されました。
双腕型産業用ロボット「WorkSense W-01」
双腕型産業用ロボット「WorkSense W-01」
 吉田 双腕型産業用ロボット「WorkSense(ワークセンス)W-01」を17年末に発表し、2月から出荷を開始した。ワークセンスは「見て、感じて、考えて、働く」といった要素を持つ自律型ロボットで、頭部カメラ(4個)やアームカメラ(2個)によって、人間の目のようにワークを認識。設置場所を変更してもプログラムを変更せずに即座に作業が行え、7軸アームの経路、姿勢、障害物の回避を自ら考える。
 独自の力覚センサーを搭載したロボットアームで繊細な組立や搬送作業が実現でき、部品を押さえながらネジ締めするといった左右別々の作業にも対応する。機体には移動用の車輪が付いており、必要な場所に移動させて作業を行うことで、多品種少量の生産が要求される分野でも高い対応力を発揮する。

―― ロボットに搭載する電子デバイスは。
 吉田 当社には社内に水晶デバイスや半導体といった電子デバイスを扱う部門もあり、常に連携しながら開発を進めている。例えばワークセンスなどに搭載する力覚センサーも自社製である。0.1Nというわずかな力を感じることができ、従来では難しかった繊細な部品の組立や、結合部の隙間が少ない部品同士のはめ込み作業などを自動化することが可能だ。
 もちろん外部からの購入部品もあり、産業用ロボットは10年以上使用されることも多いため、電子デバイスの安定的な供給体制を構築していただけると非常にありがたい。また近年はロボットの高性能化に伴い演算量が増加しており、CPUの性能が足りないためにロボットの性能を下げないといけないケースも出てきている。
 加えて、先に述べた新製品のようにコントローラーをロボット本体へ内蔵する場合、電子デバイスに優れた放熱性が求められることが多くなっており、ロボット製品に搭載するうえで重要な要素となっている。

―― 今後の方針を。
 吉田 まずは需要が伸長している中国や欧米市場でのサポート体制を拡充し、主力の電機・電子、自動車関連での対応力を強化していく。それとともに中小企業や三品産業などロボットの導入が今後拡大すると見込まれる分野への提案を進め、様々なアプリケーションに応じた最適なロボットソリューションを提供できる体制を整備していく。
 製品面ではワークセンスや18年度前半に投入予定の新製品に加え、19年度の市場投入に向けて人協調ロボットの開発も進めており、力覚センサーなどの周辺機器も含めたトータルでの提案力に磨きをかけ、中期的にはロボティクスソリューション事業部として、20年度に400億円、25年度に1000億円の売り上げを目指していく。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2018年3月22日号11面 掲載)

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