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第266回

(株)デンソーウェーブ 執行役員 ロボット事業部 事業部長 金森淳一郎氏


17年度ロボ事業20~30%増で推移
協働ロボの出荷を18年春開始

2018/3/30

(株)デンソーウェーブ 執行役員 ロボット事業部 事業部長 金森淳一郎氏
 (株)デンソーウェーブ(愛知県知多郡阿久比町大字草木字芳池1、Tel.0569-49-5000)の産業用ロボット事業が好調に推移している。2017年度(18年3月期)は、自動車関連向けを中心に需要が増加しており、協働ロボットや双腕型の先端製品など開発面の取り組みも強化している。同社執行役員でロボット事業部 事業部長の金森淳一郎氏に話を伺った。

―― ロボット製品の需要動向について。
 金森 17年度は主力である国内の自動車関連を中心に、欧米や中国といった海外市場でも伸長している。また、半導体などの部品製品をはじめ電機・電子関連も堅調で、食品や医療・医薬向けなど新規分野での引き合いも着実に増加している。食品分野では食品関連の包装機や専用機メーカーなどと連携し、ソリューションとして提供する事例も増えている。こうした状況を受け、17年度のロボット事業は前年度比20~30%増の水準で推移している。

―― 製品面では。
小型協働ロボット「COBOTTA」
小型協働ロボット「COBOTTA」
 金森 新製品として「COBOTTA(コボッタ)」の受注を17年末から開始した。安全柵なしでも使用できる協働型ロボットで可搬重量は500g。独自のモーターや減速機を活用し、本体重量は内蔵されたコントローラーを含めてわずか4kgという小型ロボットだ。従来のロボットでは自動化が難しかった小型部品のハンドリングや検査冶具へのセッティングなどにも対応が可能で、人が行う作業をコボッタで間接的にサポートするイメージだ。
 ダイレクトティーチにも対応しているため、短期間で導入でき、ライン変更などにも柔軟に対応できる。その簡易性が評価され、製造現場からだけでなく、医療、建設、サービス分野などからも引き合いをいただいており、18年春から出荷を開始する予定だ。

―― 開発面での取り組みは。
 金森 双腕型ロボットアームを備えた「マルチモーダルAIロボット」の開発を進めている。ベッコフオートメーション(株)、(株)エクサウィザーズと共同で開発している次世代型産業用ロボットシステムで、ロボットアームに不定形物を扱える多指ハンドを備え、ディープラーニングとVR(仮想現実)技術を用いることで、複雑なプログラムを組むことなく、人が人に作業を教えるのと同じようにロボットに作業を学習させることができる。
 先ほど述べたコボッタが間接的な簡易作業の置き換えに重点を置いているのに対し、マルチモーダルAIロボットは人が行っている直接作業を簡易に自動化することを目指した取り組みだ。商品化の時期などは未定だが、マルチモーダルAIロボットの開発で生まれた要素技術を部分的に実用化することも検討している。

―― ロボットに搭載する電子デバイスについて。
 金森 デンソーグループでは、車載用センサーなどの電子デバイス製品を開発・製造する部隊があり、そのなかで培った技術をロボット開発に応用する取り組みも始まっている。今後クルマの電装化が進むことで電子デバイスの開発も加速し、ロボットへ活用できる技術も増えていくのではないかと見ている。
 外部からの購入品に関しては、ロボットは10~20年使用されるケースが多いため、部品選定の際に長期の安定供給ならびに信頼性が重要な要素となる。また今後は、ロボットの高度化が進むことで、複雑な処理が得意でプログラムによって差別化もしやすいFPGAなども必要性が高まってくるだろう。
 ただ、当社でFPGAのハードとソフト両面の設計技術を取り込むことは開発工数がかかるので、電子デバイスメーカーからツールを含めた提供をしてもらえると非常にありがたい。

―― 今後の事業の方向性について。
 金森 当社の主力市場である自動車関連は、クルマの電動化が進展することで、電子デバイスやバッテリーの搭載量が増加し、部品に求められるクリーン度、精度、重量なども大きく変わっていく。それはつまり製造現場で求められる自動化・合理化ニーズも変わっていくことを意味し、当社としてはその変化を捕捉するための準備をまずはしっかりと整えていきたい。
 また、当社にはQRコードの読取機器を扱う部門があることから流通業の方とも関わりが深く、そのネットワークを活かした物流向けロボットソリューションの提案なども強化していきたい。そのほか、市場が拡大し投資も増えている半導体の製造現場にも当社のロボットが活用できる分野があると見ており、注力分野の1つとして取り組んでいければと思う。

(聞き手・浮島哲志記者)
(本紙2018年3月29日号9面 掲載)

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