電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第302回

SEMIジャパン 代表 浜島雅彦氏


マジック! セミコン・ジャパン2018開幕へ
若い人材導入で業界活性化

2018/12/7

SEMIジャパン 代表 浜島雅彦氏
 半導体製造装置・材料業界に関する世界最大級のイベント「セミコン・ジャパン2018」が、12月12日(水)~14日(金)の3日間、東京ビッグサイト(東展示棟、会議棟)で開催される。陣頭指揮を執るのは、今年1月2日付でSEMIジャパンの新代表に就任した浜島雅彦氏。浜島氏は名古屋工業大学卒業後、1983年に東京エレクトロン(TEL)に入社。SEMIジャパンに移籍した2017年まで、拡散炉や洗浄装置、プロセスコントロールなどの装置ビジネスを展開するとともに、TEL米国現地法人の統括拠点設立に尽力した立役者でもある。今回、主催者側として初めてセミコン・ジャパンを迎える浜島氏。展示会にどのような仕掛けと演出を盛り込み、来場者や出展社/団体を魅了するのか。その全貌を伺った。

―― まずSEMIジャパン新代表就任の所信から。
 浜島 米国滞在が長かったこともあり、グローバルな視点が培われたと思う。この視点を大切に、アプリケーション領域と電子デバイス群、そして製造装置・材料業界、それぞれのビジネスの橋渡し役に徹する。

―― 今年の開催テーマは「マジックが起きる」。これが意図するものは。
 浜島 SEMIがグローバルに掲げる統一テーマがコネクト、コラボレート、イノベート。セミコン・ジャパンではこの3ワードを具現化した。それが「マジックが起きる」だ。グローバルな視点を活かすことで、他のビジネス領域の方々と積極的にコネクトする。そしてコラボレートを実践することで、新たな発見や事業チャンスの創出など、想像すらできなかったイノベーションを生み出すことができる。これこそが「マジックが起きる」の意図である。

―― マジックを起こすための仕掛けは。
 浜島 オープニングキーノートに注目してほしい。ライゾマティクス取締役の石橋素氏が登壇する。同社はARやVRを駆使したパフォーマンスを披露するメディアアート集団。16年のリオデジャネイロオリンピック閉会式を演出した。キーノートの前の開会式でも同社に演出を依頼し、これまでの展示会にはない新たなオープニングを披露する。Preferred Networks代表取締役社長 最高経営責任者の西川徹氏も講演を行う。同社はAI(人工知能)関連スタートアップ企業のトップランナー。政府はもとより、ロボットや自動車メーカーの大手各社からも出資を受けている。

―― 話題のクルマ関連へのフォーカスは。
 浜島 2日目の13日に注目していただきたい。スマートトランスポーテーションサミットを用意した。午前の部と午後の部の2部構成だ。午前の部ではトヨタIT開発センターや本田技術研究所などが顔を揃え、未来の自動車の全体像とそれを支える技術やビジネス展望を語る。一方、午後の部はデンソーやボッシュなどのティア1とともに、インフィニオンも登壇。電子部品や半導体など、車載用電子デバイスのビジネスとテクノロジーの両側面から将来を展望する。司会はIHSマークイットの調査ディレクター南川明氏が担う。それだけではない。お昼休みには講演者とともに、招待客80人限定でランチョンを開催する。ぜひとも互いにコネクトし合い、コラボレートの方策を探りながら、イノベーションを生み出してもらいたい。

―― 若い方々をターゲットにしたプログラムは。
 浜島 人材不足、それも若い人を中心とする人材不足が短期・中長期の両方で深刻化している。半導体製造装置・材料業界にも高齢化の波が押し寄せており、若い血の注入は不可欠。業界の知名度を上げ、若い方々に興味を持ってもらえるようアピールするため、「MIRAI GAKKO」に注力する。

―― 具体的な構成は。
 浜島 MIRAI GAKKOは総称で、様々なイベントを用意している。セミコン・ジャパンを利用した業界ガイダンスやブースツアーを実施するのが「未来COLLEGE」。業界情報を発信し、若い方々に興味を持ってもらうのが狙い。学校訪問やSNSも利用し、参加者を募っている。大学の研究室がブースを持ち、研究内容をアピールする場「アカデミア」も設けた。装置・材料メーカーのプロのエンジニアが研究成果に助言を与えることで、研究テーマは次の段階に進化することができる。もちろん、大学のみでなく、高等専門学校を対象とした「THE高専」も健在だ。プロのアドバイスで学生さんは大いに盛り上がる。

―― メーカー所属の若い方々には。
 浜島 「TECH CAMP」を有効に利用してほしい。ここは装置・材料メーカーの若いエンジニアの方々が集まる場。競合他社あるいは異業種同士でチームを作り、課題について検討し合う。検討結果は最終日に発表を行い、メンバー企業がその内容を審査する。日常業務では接点のない若者同士がコネクトし合うのが狙いである。
 「未来プログラム」も用意した。これはメーカーの若手エンジニアと学生との接点を設けたもの。若手エンジニアが自らの業務について発表。開発に行き詰まったときの打開策などを披露する。学生に開発を疑似体験させるのが狙いだ。

―― ベンチャー企業に対しては。
 浜島 「INNOVATION VILLAGE」がある。スタートアップ企業がベンチャーキャピタルやリーディング企業に向け展示・発表する。両社がコネクトし合い、ビジネス拡大に有効利用してほしい。

―― アプリケーション領域と接点を持ちたいと願う来場者には。
 浜島 ぜひ「スマートアプリケーションズゾーン」に足を運んでもらいたい。全体を自動車、工場、スマートデータ(ビッグデータ)の3ゾーンで構成し、70社以上が出展する予定だ。

―― これら以外での注目ポイントは。
 浜島 半導体メーカーおよび装置・材料メーカーが互いに必要とする技術とその解を募集する「サプライヤーサーチ」がある。ビジネスマッチングの場として利用してもらいたい。

―― カンファレンスは。
 浜島 会議棟レセプションホールでの「SuperTHEATER」全8セッションに加え、SEMIテクノロジーシンポジウムを全13セッション。これに加え、会場3カ所に「TechSTAGE」を設け、全27セッションをラインアップした。さらには「TechSPOT」で出展者セミナーも実施。総計約130講演を用意し、最新技術はもとより、ビジネスやマーケティングの視点からも講演を行うことになる。

―― 新代表として、今後のSEMIジャパンの方向性は。
 浜島 メンバー企業の声を集約し、製造装置・材料業界が抱える課題を抽出。その課題解決のためのフレームワークを構築し、検討の場を提供していきたい。そして年に1回、その集大成としてセミコン・ジャパンを位置づけたい。

―― SEMI全体として新たな動きは。
 浜島 シノプシスやアーム、ケイデンスなど、チップデザイン企業の団体「ESD(エレクトリックシステムデザイン)アライアンス」がSEMI傘下に入った。今回のセミコン・ジャパンの最終日、14日午前中にESDアライアンスが講演を行う。登壇予定は日本シノプシス、メンター・グラフィックス・ジャパン、IC Manage。設計会社をテーマとしたセッションは初めてとなる。

(聞き手・松下晋司記者)
(本紙2018年12月6日号15面 掲載)

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