商業施設新聞
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No.698

韓国免税店、売り上げ急増の背景


嚴 在漢

2019/3/19

 韓国の主要免税店は、2018年に過去最高の売り上げ実績を達成した。世界トップの競争力を持つ韓国免税店で中国人の代購(代替購買、韓国の免税店で大量に商品を購入し、中国のSNSで個人を対象に品物を販売する者・こと)による爆買いが、売り上げ急増を牽引したのである。

 韓国免税店業界は、17年に最大の危機に陥った。それは、中国が高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の韓国配置に伴う報復の一環として、韓国への団体観光(遊客)を禁止したためだ。以来、この遊客の空白を代購が穴埋めしている。代購は大量に韓国免税品を購入し、中国で再販売すれば20%程度のマージンが得られるといわれている。

 韓国免税店協会の資料によれば、韓国免税店業界は18年通年で売上高172億3817万ドル(約1.9兆円)記録した。17年(128億348億ドル)比34%増という、過去最大規模の実績となった。

ロッテ免税店が入居するロッテワールドタワー
ロッテ免税店が入居するロッテワールドタワー
 また、韓国免税店最大手のロッテ免税店は、18年に売上高が前年比25%増の7.5兆ウォン(約7500億円)を超えた。同社は18年7月、仁川国際空港免税店第1ターミナル内の免税店から撤退し、年商1兆ウォンの売り上げ機会を失ったにもかかわらず、ソウル市内などの免税店売上高が急増した。ソウル明洞店では、初めて年商4兆ウォン(約4000億円)を上回り、ロッテワールドタワー店(ソウル市蚕室洞)も売上高1兆ウォンを突破した。

 加えて、新羅免税店も初めて年商4兆ウォンを更新。同社の18年売上高は前年比25%増の4兆1420億ウォン(約4142億円)まで伸びると、ソウル証券街では推定されている。さらに、新世界免税店も18年売上高は前年比2倍強増加の2兆ウォンに肉迫すると予測している。

 韓国免税店商品は割安で本物、多様な製品が購入できることから、代購の主なショッピング・チャンネルとなっている。

 だが、19年も18年のような好調が持続するかどうかは未知数だ。それは、中国政府が新しい電子商取引法を今年から施行したことによる。代購、微商などのオンラインで小規模な販売を行う個人に対しても、今年からは事業者の許可を取得し、税金も納めなければならない。

 韓国免税店業界は、このような中国の動きを注視している。対策のひとつとして19年は、東南アジアからの観光客の割合を高めるほか、免税店の海外市場進出などに取り組み、ビジネスの多角化を図っていく計画だ。
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