商業施設新聞
新聞情報紙のご案内・ご購読 書籍のご案内・ご購入 セミナー/イベントのご案内 広告のご案内
No.701

移転先は面白いビル


今村 香里

2019/4/9

 2月中旬に当社大阪支局のオフィスが移転し、これまでと異なるワークライフを過ごしている。移転先は、大阪・梅田エリアにある大阪駅前ビル群のうち、大阪駅前第3ビルのオフィスフロアである。第1~4まである大阪駅前ビルは、築約40年が経過する再開発ビルで、近代の大阪都市開発において歴史のある物件だ。上層階はオフィスで、低層階には多種多様な店舗が入居している。

 例えば、居酒屋、洋食屋、喫茶店など飲食系はどれも古くから営んでいる店が多い。その中で、コンビニやカフェなどの大手チェーンも負けじと出店している。ほかにも、年季の入ったレコードショップやオーダースーツ、さらには格安金券ショップやパチンコ店などバラエティに富んでいるから面白い。クリニックやビューティ系サロン、ドラッグストアも揃っており、生活で必要なことはビル1棟で完結するほど便利である。価格はいずれも安く、ランチなら500円で済んでしまうのだが、慣れてしまえばそれすら高いと感じる今日この頃だ。

 実は、このビルに移転する前から、地下のリラクゼーション店には足を運んでいた。通常10分1000円単位が相場のリラクゼーションだが、このビル内では、その半分の価格が相場である。安いからといって技術が劣っているわけではなく、コストパフォーマンスが良いという点で気に入っている。以前、この話を東京本社の同僚に話したが、信じてもらえなかった。東京の同僚が大阪支局に立ち寄った際は、今度こそ案内したいと思う。

地下フロアには居酒屋など様々な店舗が並ぶ
地下フロアには居酒屋など様々な店舗が並ぶ
 また、驚くことに、このビルの居酒屋は夕方の早い時間からほぼ満席になる。常連客のほか、上層階のオフィスで働く人も仕事が終わると集まってくる。“上野のアメ横”とまではいかないが、それに近い光景に度肝を抜かれた。

 話は変わるが、大阪駅前ビル群は、前述のとおり築年数が経過している。通常の建物なら建て替えの時期なのだが、これまでも建て替えの噂は出ては無くなりの繰り返しだ。権利関係が複雑になっているのが問題のひとつで、再開発を狙うデベロッパーも存在するだろうが、一筋縄ではいかない。現在、一部のビルは耐震改修とリニューアルによって快適な環境を維持しており、築約40年も経過しているとは思えないほど綺麗に仕上がっている。

 一方、お隣の兵庫県では、神戸三宮エリアに君臨する三宮センター街の3棟(さんプラザ、センタープラザ、センタープラザ西館)の建て替えに向けた事前調査が始まる。こちらも築約40年が経過し、複雑な権利関係などで建て替え構想が足踏み状態だったものの、ようやく動きだした。神戸三宮/三ノ宮駅を中心とした再整備の中で、どのような存在感を示すのか、今から楽しみだ。

 2025年の「大阪・関西万博」開催が決まったことで、足踏みしていた再整備に今後は弾みがつくのだろうか。6年後の関西の光景を頭に描きながら、歴史と面白味のある雑居ビルの中で、日々業務に励んでいる。
サイト内検索