商業施設新聞
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No.714

変貌が続く池袋の公園


山田 高裕

2019/7/16

 都市の中の公園は、周辺住民やサラリーマン、子どもなど幅広い人々の憩いの場として機能している。しかし、こうした公園も、管理の仕方や付属施設、そして雰囲気で利用者の数や賑わいはかなり変わってくる。

 最近、東京都豊島区の池袋周辺に足を運ぶ機会があり、いくつかの公園を見て回った。池袋駅周辺は都心部の中でも比較的周辺に公園が多い。最初に見たのは駅東側にある東池袋公園で、この公園からは、良くも悪くも普通の公園という印象を受けた。周りは木に囲まれており、どちらかと言えば暗めの雰囲気だ。利用者はまばらで、大体は周辺のサラリーマンが休憩場所として利用しているようだった。敷地内にはダンボールハウスも見受けられ、遊具があるものの、子どもの利用者は少なかった。

平日昼間の南池袋公園。芝生は整備中だ。
平日昼間の南池袋公園。芝生は整備中だ。
 これに比べ、近くにある南池袋公園は全く違うものだった。以前は他の公園と同様に薄暗く人もまばらだったようだが、2016年のリニューアルによりその姿を大きく変えた。中心には広々とした芝生広場を配置し、開放感ある遊びの空間を作った。その周辺にはテラス席や遊具、卓球台、そしてカフェレストランを設置した。このカフェレストランと芝生広場に惹かれ、学生からファミリー、サラリーマンまで幅広い人が集まっており、平日昼間にもかかわらず周辺の座席はほぼ満席、人があふれる空間になっていた。同じような立地でも、空間の作り方と管理のやり方で、こうも人の流れは違ってくるということを如実に示した例だと言えよう。

 また池袋周辺では、現在再開発が進んでいる公園も複数ある。駅東側にある中池袋公園はイベント広場として再開発中で、周辺で営業しているアニメグッズショップ「アニメイト」がカフェを出店する。再開発が完了する19年9月には、周辺施設の「ハレザ池袋」で劇場などが先行オープンし、イベントなどの連携による文化発信が期待される。また駅西側の池袋西口公園でも、19年秋ごろに、新しい野外劇場やカフェを設置する再開発が予定されている。

 こうした特徴ある公園は、周辺の人々に憩いを提供するだけではなく、賑わいや周辺施設への送客といった面でも大きな効果を発揮する。今後は都心部の他の公園でも、これまでの公園とは全く違った形での再開発が求められていくだろう。こうした流れでどのような公園ができあがるのか、今から楽しみにしている。
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