商業施設新聞
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No.724

台風が残した教訓


山田 高裕

2019/9/24

 9月8日夜、関東地方に上陸した台風15号は、各地に深い爪痕を残した。夜間に通過したため人的被害こそ少なかったが、各地では電車など交通インフラに深刻な被害が発生し、翌日の9日には多くの路線が長時間運休した。停電などが起きた世帯も多く、千葉県の一部などでは1週間経ってもまだなお停電が続いている。

 自宅の最寄り駅では都市インフラの混乱を目のあたりにした。最寄り駅の路線は総武線快速と総武線各駅停車しかなく、両方とも台風によって運休する事態となったため、最寄り駅周辺から動けなくなったのだ。元々JR東日本は、翌日8時ごろまで運休すると前日から表明していたが、総武線各駅・快速ともに8時には再開できず、昼過ぎまで運航休止状態だった。総武線各駅は午後に運行再開となったが、本数は10~15分に1本と極端に少なく、改札前には長蛇の列ができる有様で、総武線快速に至っては夕方ごろまで運休状態であった。

 そしてこの結果、駅周辺は運行再開を待つ人で溢れ返り、行列は駅舎からロータリーを一周するような状態にまで伸びていた。台風一過で気温が高くなったこともあり、駅構内では寝転がって休む人すら現れた。

駅構内から溢れる人々
駅構内から溢れる人々
 このように人が溢れていたため、並ぶのを諦めて近くの飲食店などに向かう人も多かったが、ここでも異変は起きていた。駅近くの吉野家には「台風のため休業します」という貼り紙があり、また別の飲食店は営業こそしているものの、昼間の混雑時間帯であるにも関わらず店員が1人しかおらず、明らかにオペレーションが機能していない様子だった。

 こうした有様を見て、災害対応というものは設備や避難所などの整備、備蓄など直接対応する面だけではなく、災害後の事態をどのように収拾するかというシステム面も重要であることを考えさせられた。駅周辺にできた行列はまさにこの点で失敗したがゆえに現れたものであって、電車の復旧のめどが不確かであれば、いっそのこと夕方あるいは終日運休にするといった決断が必要だったのではないか。また飲食店などの商業店舗についても、災害時には材料や商品の流通、スタッフの確保策を含めた災害対応プランが必要なのだということを浮き彫りにしたと思う。東日本大震災の時は突然の事態であったため大きな混乱が起きたのは仕方なかったが、今回は事前に予測できていたにも関わらず、交通関係で多大な混乱が起きてしまったことは、個別の企業にとどまらず社会全体に大きな課題を投げかけたと言えるのではないだろうか。
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