商業施設新聞
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No.382

大人になる渋谷


今村 香里

2012/10/2

今度は渋谷ヒカリエでゆっくり買い物したい
今度は渋谷ヒカリエで
ゆっくり買い物したい
 先日、東京で取材をする機会があり、久々に渋谷の街に行った。
 取材の合間に噂の「渋谷ヒカリエ」を探索してみることにした。時間の関係で全館は回れなかったが、地下1階から地上5階くらいまでをぶらぶらとウィンドウショッピングさながら歩き回った。中でも雑貨フロアは楽しく、購買欲がかきたてられた。こだわりを持った個性的なキッチン雑貨やインテリア、服飾雑貨が揃っており、私がとても好きな京都発のニッチなブランドも入っていて思わず感心してしまった。ラウンジのようなヒカリエ自慢のトイレにはたどり着けなかったが、また行ってみたいと思った。


渋谷ロフトにオープンした、日本初上陸となるパリの「アルテウム」
渋谷ロフトにオープンした、
日本初上陸となるパリの「アルテウム」
 この日は夕方から、「渋谷ロフト」のリニューアルオープンに関連した内覧会に参加した。新しい渋谷のロフトは、従来の若者層から高感度な女性をターゲットにしている。日本初上陸となるパリの「アルテウム」など、アート雑貨を全フロアで積極的に取り入れている。アート雑貨と言えば値段が高いイメージだが、ここでは生活雑貨を中心に手頃な価格の商品を仕入れているようだ。確かに、6階の次世代若手アーティストによるデザイン雑貨コーナーで手にとったものは、600円のマグカップだった。気軽に買えるもので、デザインがおしゃれなら、普通のマグカップではなく、間違いなくこのマグカップを買うだろう。
 各フロアもカテゴリーごとに、日本にないような雑貨や、日本にあってもなかなか表に出ない、デザイン性に優れた雑貨が揃っていた。渋谷ロフトも、渋谷ヒカリエの開業をはじめ、大人になろうとしている渋谷の街にターゲット層を合わせたといった感じだろう。

 話は変わるが、地方にある私の実家では、約50年ぶりとなる建て替え計画の真っ最中だ。急なことで、実家の解体が10月某日に決まった。実家に帰る度に少しずつ荷物を整理していたものの、絶対に間に合わない……。
 急いで帰り、タンスの中のものをとりあえず全部出してみた。すると奥の方から、15cmぐらいの厚底サンダルやブーツ、派手なミニスカートやルーズソックスが大量に出てきたのだ。母親の「全部捨ててね」という無言の圧力に反するように、「捨てたくない!」という気持ちになった。中高生の時に必死でアルバイトをして買ったものばかりで、なかなか捨てられるわけがない。

 その時、先日行った渋谷の街を思い出した。私が中高生の時、ギャル系を支持する少女にとって「渋谷109」はまさに“聖地”で、渋谷に行くとそこに一直線に向かっていた。それが、先日はヒカリエに感心したり、ロフトの雑貨に見入ってしまったりと、渋谷109に行くことは頭になかった。ふと考えると、10年くらい行っていないかもしれない。
 そして、ファッションの好みも感覚も、だいぶ以前と変わっていることに気づかされた。もちろん、今でも109系のブランドの支持率は高いが、どうやら自分は離れてしまっているようだ。

 ルーズソックスが流行った“コギャル”の最全盛期は、確か私が小学校の高学年から中学にかけての頃だったので、私より少し年上のお姉さま方がこの頃の渋谷を盛り上げていたのではないだろうか。現在の30代の女性だ。
 大人になるに従って、内面もファッションセンスも感覚が変わってくる。渋谷の街も私達と一緒に大人になっていくのだな~!としみじみ感じている今日この頃だ。
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