電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第6回

MHN半導体株式会社の再生計画はこれだ!!(下)


~逆転の発想で旧工場分社化、高齢者主力に適正価格で販売~

2013/3/1

 また、もう1つ突飛なアイデアがある。MHN半導体社には売るにも売れない古い工場がいくつもある。プロセスも古く、ウエハーのサイズも小さい。ミクロンルールも太いので、電子業界でも不要とされている。これらの古い工場を、景気対策の予算を使って政府の関連企業を作り買い取らせる。そして50歳を過ぎて退職勧告となっている技術者を半額以下の賃金で大量に雇用し、半導体の開発、設計、製造をさせる。売れない工場であるから、これを買い取る金額は安価ですむ。

 そして60歳代半ばには、半導体が隆盛を極めていた時代を過ごしたハングリーな団塊の世代がいる。この世代の元気な人達に年金でつましい暮らしを迫るより、実績次第ではボーナスも期待できるチャレンジの場を提供でき、しかもこのハングリーな世代の猛烈な競争意識が利用できる。こういう施策により、この地域の環境が良くなり、その中で育ったハングリー精神の不足している若い世代の企業人が刺激を受ける期待もある。
 なお、筆者もこの世代に近い年代である(60歳は超えているが、現場で指揮を執っている)。

 半導体産業の低迷は、半導体の需要家である電子業界の低迷と根を同じくする。製造技術では世界で一番であった。しかし、これはコストが一番安価であることを意味しない。消費者がいう品質は、壊れない、長持ちする、期待どおりに動く、である。ゆえに、今でもこの地域で作られた製品の品質は世界一と好評である。しかし価格が高い。ある部分は円高のためでもあるが、これを割り引いても高コストとなっている。

 ここでも発想を逆転しよう。高コストであっても消費者が納得すればよい。人命に関わる所まで行かなくても、やはりこれが良い、といってもらえる製品作りが重要である。

 これには最近、好例がある。電気釜である。5000円程度のものもあるが、10万円を超える電気釜も良く売れている。これは、味の差を訴えることに成功しているからと、誰でも納得する。では、音は、画像は、とはすぐに思いつくが、風は、匂いは、健康は、予防はと、大流行のスマートフォン以外でも感性や必要性に訴えられる製品はまだまだあるし、実際、販売が始まっているものもある。

 この地域では、どの分野でも「新技術」はなかなか受け入れられない。しかし「他の誰かが実行して成功してからやりましょう」――こういう発言や行動をしている管理職は全員、退職を願う必要がある。この地域の電子、半導体が世界一で余裕のあったときは、この考えで物事を進めても、まだ事業化の余裕もあり、世界の進歩も早くなかった。
 今、この地域の電子、半導体の産業界は世界に遅れている、という自覚が多いに不足している。遅れている、という自覚があり、そして、このままでは潰れると思っていれば、座して死を待つよりましと、何にでも手を出して当然。ところが、この当然が働かない。いまだに栄華を極めていた時代の感性で物事を判断している管理職が多いと見ている。

 実際、ある新技術の紹介をしたところ、この地域で開発された新技術であるが、興味を一番強く示したのが、たまたま訪問に来ていた米国の半導体企業からの来客であった。この地域の企業も、この技術がこれからの製品に不可欠としているところがすでにあり、設計にも入っていても、実績がないと検討できません、会社の規則です、という。この規則の改訂を行わない怠慢な管理職が企業を潰す原因となっている。これはMHN半導体には多々いるようであるから、現状は当然のことであるといえる。

<具体的なMHN半導体社の再生計画案>
 1:経営の感覚が鈍い、進取の気概のない、現行の経営陣は懲戒、とはいかなくても免職とする。落ち込みの責任は取ってもらわねばならない。
 2:企業体制を旧来の3社の縦割りから脱却させるために、課長以上の人員の、特に役員の大幅な異動を行う。もと属していた系統以外へ転属させることで本人の実力が試されるし、マンネリを打破できる。
 3:新プロセス開発に注力する。高周波CMOS、不揮発性RAM、MEMSセンサー、世界のほかに追随できない新プロセスとそれによる製品を作り上げる。
 4:この新プロセスのために、研究者、開発者を製造工場の隣へ転勤させて、工場と一体化して開発を進めさせる。
 5:古い工場は分社化し、50代以上の高齢者を中心にして、プロセスの見直し、製品戦略も分社した後の経営陣に任せる。
 6:需要家に対し製品の値上げを行い、妥当な価格とする。既存の製品のコスト割れは株主の利益に反するし、製造が停止となれば一番損を被るのは需要家である。大きく利益を上げる価格にするのは仁義に反するが、赤字の製品の販売継続は中止するしかない。
 7:別会社化している下請け部分を社内に取り入れ、製造と開発が一体の体制に後工程もしていく(特殊なパッケージもこの地域のお家芸です)。
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