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第415回

北陸電気工業(株) 執行役員 営業本部長 加賀田松征氏


高機能チップ抵抗器など伸長
車載・IoT・医療へ展開

2021/3/5

北陸電気工業(株) 執行役員 営業本部長 加賀田松征氏
 創業78年目を迎えた北陸電気工業(株)(富山市下大久保3158、Tel.076-467-1111)は、創業以来強みとする抵抗器をはじめ、今ではセンサーや無線、EMS(基板実装、アッセンブリー)など幅広い事業を展開する。同社の現況、今後の展望について、同社執行役員 営業本部長の加賀田松征氏にお聞きした。

―― 現状の事業構成は。
 加賀田 三本柱で事業展開している。受動部品の抵抗器・スイッチ・ボリューム・ペーストスルーホール基板、機能部品のセンサー・圧電製品・無線、そしてEMSだ。金額ベースではEMSが5割程度、次いで抵抗器ほかの受動部品が約3割、センサーなどの機能部品が約2割となっている。抵抗器は電流量の調整・制御など、どのアプリケーションにも必要不可欠なため多くのエレクトロニクス製品に使用され、着実に伸長中だ。生産能力向上など力を入れ続けている。加えて、最近はセンサー・無線などが拡大傾向で新たな拡販に注力している。

―― 足元の業績は。
 加賀田 足元では巣ごもりやリモート需要もあり、ノートPC、タブレット端末やデータセンター増設からくるストレージ、そして家電向けが好調なほか、日系の通信基地局向け需要も増えてきた。ミリ波になれば基地局はますます増えるだろう。また、全社売上高の約6割を車載向けが占める。そのため、業績的には20年度上期の車載関連の弱含みが響き、今期売上高は前年度比減を予想しているが、下期は車載を中心に急回復しており、半導体やコンデンサーに続き、チップ固定抵抗器も受注増でとてもタイトな状況にある。

―― 車載向けについて。
 加賀田 自動車は日系のお客様が強い分野であり、耐サージ、耐硫化など特色を持った高機能チップ抵抗器などが車載向けに伸びている。EV、コネクテッド、自動運転(ADAS含む)など自動車はエレクトロニクス化で員数増の方向性にあり、多種のハイエンドな抵抗器製品群、センサー、モジュール品を持ち得ていることも強みとなっている。コネクテッドではアンテナメーカーと組んでV2Xのアンテナモジュールの展開を狙うほか、EVの電池周り、ADAS周りの各種アッセー、センサー群も需要が拡大している。

―― ペースト基板も継続されています。
 加賀田 四十余年の蓄積を持つ。紙フェノールを素材に用い、基板の上にペーストにて回路形成する独自手法で低コスト化できる利点がある。現状では、オーディオ、メーターパネルや白物家電の操作パネルなどに搭載されている。実はこのペースト技術がチップ抵抗、可変抵抗や、各種センサー製品群などでも活きている。

―― センサー、無線の事業展開について。
 加賀田 IoTの到来、普及でデータの時代になっていくなか、農業・流通・保険など様々な異業種にもエレクトロニクスが関わり出し、クラウド活用でつながっていく。20年以上前からラインアップしている湿度センサーや、MEMS技術を応用した圧力センサーなど各種センサー製品群も含め、IoTで需要は増加の一途をたどる。また、無線では18年にグループ化した野村エンジニアンリングの無線商品、システム構築力と当社のセンシング技術を活かし、ソリューション対応も強めている。スマートアグリや児童見守りシステムなどにも採用されている。また医療分野への展開も見据えている。

―― 医療分野とは。
 加賀田 新製品の高速応答湿度センサーが医療機器向けに有効性が高く、引き合いが増えている。またコロナ以前から、センサーや無線を用いた周囲環境やバイタルセンシングなどにチャレンジしており、ヘルスケアや遠隔医療への貢献に取り組んでいる。

―― 生産拠点は。
 加賀田 アッセーは上海(中国)・タイ・富山(日本)、汎用受動部品は富山(日本)・東莞(中国)、圧電は天津(中国)・マレーシア、圧力系のセンサー製品群は富山、基板はマレーシアで生産している。抵抗器はフル稼働の活況にあり、毎年増強している。

―― 今後の展望をお聞かせ下さい。
 加賀田 前述のIoT、車載、医療に加え、今まで開発してきた非接触温度センサーや振動発電を用いたエナジーハーベスト、音声認識などへの引き合いも高まっている。コロナ禍で健康状態の把握や、持続可能性への注目度アップによる環境保護、そして公共の場などでの非接触など、当社の技術が時代の要請にマッチしてきた。IoT、自動車のCASE、5G通信など、世界的に大きく変化する中で、今後はセンサー単品だけではなく、センサー+無線、複合センサー、センサー+周辺回路のモジュール化など、機能デバイスとEMSの融合で、変化を先取りした独自のモジュール製品も生み出し社会に貢献していく。


(聞き手・高澤里美記者)
(本紙2021年3月4日号14面 掲載)

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