電子デバイス産業新聞(旧半導体産業新聞)
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第420回

トレックス・セミコンダクター(株) 代表取締役社長 芝宮孝司氏


25年度売上350億円目指す
アナログ、パワーでGX貢献

2021/4/9

トレックス・セミコンダクター(株) 代表取締役社長 芝宮孝司氏
 アナログ半導体専業のトレックス・セミコンダクター(株)(東京都中央区新川1-24-1、Tel.03-6222-2892)は、2019年2月にファンドリービジネスを展開するフェニテックセミコンダクター(以下、フェニテック)を完全子会社化し、安定供給体制を確立した。同時に、次世代パワーデバイスを見据えた布石も着々と進めている。創業時から同社躍進に貢献し、第5代目代表取締役社長として同社を率いる芝宮孝司氏に、現況や展望など幅広くお聞きした。

―― 足元の市況感からら伺います。
 芝宮 20年7月ごろから市場は回復基調が続いており、足元も工場はフル稼働の状態にある。滞りなく納期に対応することが最優先事項だ。当社にはフェニテックの生産キャパがあるため、小回りの利いた安定供給ができている。データセンター、5G通信、電動車向けなどに電子デバイス搭載数が増えているうえ、民生機器向け需要も旺盛だ。ただし、実需なのか、各社在庫確保に向けた動きなのか注視していく必要はある。

―― 6インチ化シフトの進捗、8インチ化について。
 芝宮 生産効率化に向けフェニテック第一工場(岡山県井原市)内に新設のFab4を活用し、20年度内に6インチ比率を64%まで高める予定だったが、新型コロナウイルスの影響からお客様側での承認遅延が生じており、21年上期中の実現となりそうだ。基本的には移管は順調に進んでいる。一方、8インチ化も視野に入れているが、その場合は、外部の8インチ工場取得も選択肢になるだろう。

―― 21~25年度の中期経営計画を策定されました。
 芝宮 数値目標としては、連結売上高を23年度300億円、25年度350億円、営業利益は同順に30億円、40億円と向上させ、25年度には営業利益率11.4%を掲げている。これはリベンジの数字でもある。前中計でも同様の数値目標を掲げていたが、米中貿易摩擦、新型コロナウイルスなど予期せぬ状況が重なり、19年度業績は売上高215億円、営業利益7億円、20年度業績予想は売上高235億円、営業利益9億円の見通しだ。しかし、フェニテックの完全子会社化、小型化・低消費電力な電源ICやパワーデバイスへの布石など当社の強みが時代の流れにマッチしてきている。次なる8インチ化、化合物半導体などに向け、中計達成は当社にとって必須だ。

―― 確かに世界的な環境意識の高まりにマッチする製品群です。
 芝宮 GX(グリーントランスフォーメーション)に向け、当社主力の省電力回路や実装基板縮小、部品小型化を実現したDC/DCコンバーターおよび小型パッケージ、低発熱・熱損失低減に貢献するパワーデバイスは、脱炭素社会実現に貢献する技術である。低消費電力にこだわり、付加価値ある製品をタイムリーに上市し続けることにより、サステナブルな社会に向けて貢献していきたい。ちなみに、当社の電源ICは、省エネルギーセンター主催の20年度省エネ大賞を受賞している。

―― 次世代パワーデバイスの進捗も順調そうです。
 芝宮 フェニテックの鹿児島工場でSiC SBD(ショットキーバリアダイオード)650V品のサンプル出荷を20年9月に開始し、近く量産出荷予定だ。同1200V品も21年11月からサンプル出荷、22年前半での量産を見据えている。また、TPEC(つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション)に参画して開発中のSiC MOSFETでも650V、1200Vのサンプル品を21年前半から順次上市を計画している。独自技術を活かしたSiCベースウエハーは当社の強みと自負している。
 また、ノベルクリスタルテクノロジーと資本提携し、β型酸化ガリウム単結晶基板・エピタキシャルウエハーの共同開発も進めており、低耐圧から高耐圧まで次世代パワーデバイスで製品展開できる準備は整った。

―― アナログ人材が希少のなか、インドの存在も大きい。
 芝宮 19年にインドのCirel Systems社と資本業務提携し、デジアナ混載技術を含めた設計開発体制を整えたが、優秀なアナログ半導体人材という点でも相乗効果を実感している。また、FPGAなどゲート数の多い製品で数nmクラスながら0.3V前後の低電圧、かつ±数%の高精度ニーズが高まっており、日本同様のきめ細かな設計開発に秀でたインドのアナログエンジニアの存在は大きい。

―― 今後の展望をお聞かせ下さい。
 芝宮 フェニテックの本社工場に化合物半導体生産ラインが残っており、将来的に化合物半導体ビジネスを伸ばすことも可能性として考えている。また、顧客志向、市場志向を目指し、必要に応じて迅速かつ臨機応変に他社とのコラボレーションも検討していく。たとえば熱電製品メーカーの米MATRIX Industries社との協業も、当社技術を活かしたエナジーハーベストシステムで再生エネルギーの新たな可能性につながりつつある。今後も、特徴ある製品を創出しながらアナログ半導体メーカーとして躍進し続けていく。

(聞き手・高澤里美記者)
(本紙2021年4月8日号3面 掲載)

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