商業施設新聞
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第287回

(株)ブルースターバーガージャパン 代表取締役 西山泰生氏


DX、SDGs重視で業界に新風
低コスト化で低価格+高級を実現

2021/7/6

(株)ブルースターバーガージャパン 代表取締役 西山泰生氏
 ファストフード業界の4番打者、ハンバーガー業態。低価格から高級業態まで様々な顔が時代を彩ってきた。今、新しい風を吹かせるのが(株)ブルースターバーガージャパンだ。2020年11月、東京・中目黒に1号店を出店。低価格と高級バーガーの特徴を併せ持ち、DXやキャッシュレス導入など先進的な取り組みが人気を呼ぶ。代表取締役の西山泰生氏は弱冠23歳でいわゆるZ世代だ。焼肉ライクなどをグループに持つダイニングイノベーショングループの1社で、創始者の西山知義氏を父に持つ。西山泰生氏に聞いた。

―― ブルースターバーガージャパン創業の経緯から。
 西山 ITテクノロジーによって様々な業界が大きく変化していたが、飲食業界は変わらずに今日まで来ている。ITに関わっていることもあり、テクノロジーで大きく変えられる余地を感じた。また、私の父が飲食業界に関わってきたので、その知見も活かせると考えた。特にDXの活用を重視し、DXによるサービスを第一義とし、ファストファードがそれに次ぐ。そこがほかと違う点だ。

―― ハンバーガー業態を選んだ理由は。
 西山 大型市場だが、新規参入がしにくく、巨大チェーンが市場を取っていた。

―― 調達面でグループの優位性を活かせるのでは
 西山 しゃぶしゃぶや焼肉、ハンバーグで使う部位は全然違う。焼肉ライクと同じグループだが、それぞれ食材を調達する仕組みだ。

―― ブルースターバーガーの魅力や特徴は。
 西山 名前の由来は、サムエル・ウルマンの詩「年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる」に感銘して、いつまでも若くという青春のブルー、いつまでも輝くというスターという思いを込めた。ジャパンは海外進出を意識した。
 ブルースターバーガーはシームレスな決済を含めた店舗の新しい体験を提供する。人件費を抑えて得た利益を品質の高い食材に投下して、美味しいハンバーガーを安く提供する。低価格で高品質なバーガーはこれまでなかった。

―― ハンバーガーチェーンの価格と同水準です。
 西山 グルメバーガーは価格が1000円以上で、サイズも大きくてボリューミーなので、一度食べると当面は食べたくなくなる。ブルースターは価格やサイズも最適化し、毎日食べたいという満足感を目指した。国内外の様々なハンバーガーを食べ歩き、バンズやパティの素材を求めて北海道などを回ってオリジナルの味を実現できた。

―― キャッシュレス化しています。
 西山 レジを廃止しキャッシュレス化により人件費を抑制できた。キッチンの省人化を目指しており、当初大人数だったが、十分減らせる余地がある。

―― 中目黒を1号店に選んだ理由は。
 西山 事業開始の直前、新型コロナの感染が拡大した。当初は渋谷駅周辺など繁華街に出店を考えていたが、人の流れが大きく変わったため、繁華街と住宅街の要素を併せ持つ中目黒を選択した。感度が高い方々がいる場所であることも大きい。

―― 店舗のデザインは。
 西山 気軽に日常的に利用していただきたく、米ポートランドの昔ながらの雰囲気をイメージし、エイジング加工などで、雰囲気を出した。

―― 1号店の手応えは。
 西山 多くのお客様にご利用いただいている。開店当初は予想以上の来店でかなりお待たせしてしまったが、今は調理時間などオペレーションを改善し、ほぼ時差がなくお渡しできるようになった。
 想定より年齢層や客層が広かった。交通系ICカード、ペイペイなども使いこなしている方も年齢に関係なくいらっしゃる。

―― 支払いで多いのは。
 西山 アプリ決済が最も多く、6割を占める。当初アプリはセルフレジに勝てないといわれていたが、アプリが勝った。年齢層も広い。常連客も多く、リピーターになっている。アプリはお待たせしない点も好評だ。
 また、2月からデリバリーを始めて、これも好調だ。

―― 2号店以降やFCは。
 西山 DXをどこから攻めれば最も効果的かなどを検証、テストを重ねており、これが固まったら一気に展開したい。2号店は直営を考えている。場所は検討中。また、5月末からFCの募集を開始した。

―― 店舗面積は。
 西山 現在13坪だが、さらに狭小な面積でも出店できるし、テイクアウトのみならば10坪以下でも可能だ。

―― 立地は。
 西山 各立地を検討している。ロードサイド、ゴーストキッチン型や、いずれも物件次第で、エリアによって何が強いのかが見えてくるので、地域のニーズによって設計する。

―― 店舗数など中期的な目標は。
 西山 店舗数は定めていないが、アプリのダウンロード数や会員数など、従来とは異なる指標をKPIとしている。

―― 今後の抱負を。
 西山 たくさんの方に日常的にハンバーガーを気軽に食べていただけるように出店を進めてきたい。またフードロスへの対応や、ストローをプラスチックから紙製に替えるなど、SDGsや地球環境配慮をブランドとして発信していく。


(聞き手・特別編集委員 松本顕介)
※商業施設新聞2401号(2021年6月26日)(8面)
 経営者の目線 外食インタビュー

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